今更聞けない「中強度・中量」を徹底解説します
- 深澤哲也(ウェルビーイング株式会社副社長)
- 14 時間前
- 読了時間: 12分
突然ですがあなたは、長距離ランナーにとって最も重要な能力値ってなんだかわかりますか?
インターバルがどれくらいのレベルでやれるか?距離走がどれくらいのレベルでやれるか?
はい、これらも本当に重要です。最終的にはこれらのレベルによってレースの結果は決まるからです。ですが、実は根本的にはもっと重要な事項があるのです。
それが「中強度・中量」という概念です。
もしかしたら、これまで何度もメルマガやYouTubeでお話ししてきたこともあって、そんなことはもう知っている、と思われるかもしれません。
では、中強度・中量というのは具体的にどういう基準なのでしょうか?どこからどこまでが中強度で、どこからどこまでが中量なのでしょうか?
これ、意外にパッと答えられない方が多いのではないかと思います。それもそのはず、「中強度・中量」という概念はとても曖昧であり、人によってそのレベルも違うので、説明がとても難しいのです。
だからこそ、曖昧な理解でなんとなくやっているという方も少なくありません。ですが、ここを正しく理解することは、ご自身のマラソントレーニングを考える上で非常に重要であり、今後のトレーニングで適切な負荷をかけられるかが変わってくるポイントになります。
今日はそんな「中強度・中量」を今一度明確に説明したいと思います。
中強度とは
これは読んで字のごとく「中程度の強度」のトレーニングのことです。
はい、おっしゃりたいことはわかります。それがいまいちわからないから苦労するのだと。なのでもう少し具体的な目安を出しましょう。いくつかの観点から目安は挙げられるのですが、最も実戦的観点かつわかりやすいのが「呼吸」です。呼吸が一切荒れない程度、言い換えると、走っていて自分の呼吸の音がほとんど聞こえないギリギリの強度感が中強度に当てはまります。
これは、呼吸が荒れる理由を理解していただくとわかりやすいです。呼吸が荒れる理由は、つまり有酸素代謝だけでエネルギーを賄いきれなくなっているから。人間の体には酸素を使ってエネルギーを生み出す「有気的代謝」と、酸素を使わずエネルギーを生み出す「無気的代謝」の2種類があります。
今日は詳細な説明は割愛しますが、要するに私たち長距離ランナーは、基本的にはいかに「有気的代謝」のみで大きなエネルギーを生み出せるかということが鍵になります。なぜなら、「無気的代謝」というのはあくまで「有気的代謝」で必要なエネルギーを賄いきれなくなった時用の非常エネルギーだからです。
例えば、走っていてペースを上げていくと、必要なエネルギーの量が増えていきます。すると段々「有気的代謝」だけではエネルギーの生成が間に合わなくなっていくことがあります。そこで動員されるのが、「無気的代謝」なんです。
「無気的代謝」を使うと、一瞬で大きなエネルギーを生み出すことができます。ただ、これには代償があります。それは、無気的代謝を使うと疲れるということです。だから、長距離ランナーはいかに「無気的代謝」を使わずに速く走れるかという能力を培うために、「有気的代謝」の能力向上に励むのです。
呼吸が荒れるということはつまり、有気的代謝だけでエネルギーを賄いきれない領域に達していることを意味します。単純に酸素を使って生み出せるエネルギー量が、ペースに対して間に合っていないという状況なので、体はより多くの酸素を取り入れようとして、結果呼吸が乱れるのです。だから、呼吸が荒れているということは、多かれ少なかれ「無気的代謝」を使ってしまっているという状況なんです。
また先述の通り、無気的代謝を使うと体は疲れます。疲れるということは、日常的に同じトレーニングができないということです。それでは練習量も増えませんし、反復もできません。そうなるとどうしても、中々長距離走においては継続的に力をつけていくことができないのです。
そのため、疲れを溜め込まないために全く無気的代謝を使わないレベルの中での限界値で走りつつ、とはいえ楽でもないくらいの刺激を体にかけて有酸素能力を養うというのが、中強度という練習の役割なんです。
そして、この中強度の範囲で走ってみてどれくらいのペースになるのか、ということが、つまりはその人の「有気的代謝」の能力値を表しているわけです。もちろん有気的代謝が優れていれば、その先でインターバルトレーニングも距離走もより高いレベルでこなすことが可能となり、結果としてレースでも速く走れます。だから、中強度のレベルというのが、その人の基本能力を表す大きな指標なんですね。
ちなみに、呼吸以外にもう少し数値的にわかる目安が欲しいという方もいらっしゃると思うので、お伝えします。それは心拍数です。最大心拍数の85%以下に収めることが、一つの目安となります。また、5kmのレースペースから+50秒前後くらいが中強度に当てはまるケースも多いので、それも一つの参考にしてみてください。
大事なのは「楽でもなくきつくもなく」という主観的強度です。楽に感じるならそれは低強度であり、きつく感じるならそれは中強度の範囲を越えていると思って間違いありません。
中量とは
次に「中量」という概念についても説明していきたいと思います。これはつまり「日常的にストレスなく走れる量がどれくらいなのか?」ということです。
考え方としては、総走行距離を日数で割ったものがおよそ中量になります。例えば月間300km走っている人であれば、およそ1日10kmですから、その人にとっては10kmが中量になるわけですね。
先ほどの中強度のレベルを上げると同時に、この中量のレベルを上げていくこともとても重要になります。なぜなら、中量のレベルが上がることで、当然ながらこなせる練習量が増えていき、体もよりハイレベルなトレーニング刺激に対して適応できるようになっていくからです。
トレーニングとはやったらそのまま強くなるものではなくて、かけた刺激に対して適応して初めて強くなれるものです。その点において、中量のレベルが高い人はやはり間違いなくより強い刺激に対しても適応が早く、適応しやすい傾向にあります。
例えばですが、1日6kmが中量の人と、1日12kmが中量の人がいるとして、この二人がある日30km走を一緒にやったとします。この場合、30km走というトレーニングに対して間違いなく後者の方が疲労の残り方も少ないし、その練習に対しての適応も速いし、その結果レースで結果を出す可能性も高くなります。
つまり中量のレベルが高いというのは、その人の基礎体力レベルが高いことを意味しており、まるで乾いたスポンジのようにとても吸収力が高いということになります。そして、この中量というのは先述した中強度とはセットで考えられるものです。
中強度のレベルが上がれば基本的に中量のレベルも上がるし、逆も然りです。だから、二つセットで「中強度・中量」というものが大事だとこれまでも何度もお話をしてきたわけです。
中強度・中量のレベルはどうやって上げるのか?
これは結論から言えば「反復」しかありません。ある時期に走り込むと決めて、その時期はしっかり集中して練習量を増やしたり、中強度走を週に何度も入れて反復して体に刺激をかけていくことが重要です。
ただ、もちろんこれは一朝一夕で向上する力ではありません。特に、やっている最中は地味な取り組みになるので、面白くないと感じるかもしれません。ですが、やっているうちに間違いなく体の変化が起こりますし、むしろ変化を感じられるようになってくるととても楽しくも思えてくるようなものです。
ただ、当然こういった取り組みはレースが近い時にはできません。つまり、レースからまだ時間がある「基礎構築期」に行うのが一般的です。これはレースから逆算してトレーニングを組み立てる「期分け」という考え方のもとでの話ですが、やはり「力を蓄える時期」と「結果を出す時期」があるのです。

このような中強度・中量のレベルを上げていくような取り組みをする「基礎構築期」は、まさに力を蓄える時期です。この時期にそういった取り組みをしている人は、その後レースが近づいてきて「結果を出す時期」になったら、一気に大きくタイムを飛躍させる傾向にあります。
実際私もその体験者でして、今から二年前の夏、当時まだマラソンが2時間47分だったのですが、ひと夏しっかり走り込んで中強度・中量のレベルが向上し、その後レースで結果を出すためのトレーニングへの移行もうまく行った結果、そのシーズンでなんと2時間32分までタイムを伸ばすことができました。
それくらいのインパクトがある話がこの「中強度・中量」なのです。ぜひ改めて理解を深めていただけたら幸いです。
フルマラソンのタイムを長期的に伸ばし続けたい市民ランナーのあなたへ
そして、もしあなたがフルマラソンをメインに取り組んでおられる市民ランナーの方で、これから先タイムを長期的に伸ばし続けたいと思われるなら、ぜひお勧めしたい動画があります。それが「市民ランナーさんが最高の結果を出す為のマラソントレーニング要綱2025年版」というものです。
こちらは こちらは走歴20年、自身も生活の全てをかけてプロとしてフルマラソンに取り組み2時間13分の記録を持ち、現在は累計数百人の市民ランナーさんのサブ3、サブエガ達成をサポートしてきた池上秀志による約4時間の講義動画です。
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上記に当てはまるなら、必ずこの先もお読みください。
本講義は弊社代表の池上が講師を務めます。
今回の講義を一言でまとめるならば、「フルマラソンが速くなるために大事なことを1から10までまとめたもの」です。
世の中、トップランナーにしても、トップレベルの市民ランナーにしても、誰一人として同じ練習をして結果を出した人はいません。みんな違う練習をして、それぞれ結果を出しています。
これを書いている私深澤自身も2時間30分を切りました。そして、他にも2時間30分切りを達成したランナーの知り合いは結構何人も知っています。
ですが他の2時間30分切りランナーの人で、練習内容が同じという人は誰一人としていません。
しかしながら、マラソンで結果を出すためにはそのトレーニングに関して必ず共通事項があるのです。
いくつかの例をあげましょう。
まず、2時間30分を切っている人で、中強度のペースが1km4分30秒かかるという人はまずいません。これは絶対にあり得ないのです。
次に、2時間30分を切る人で5km一本全力で走って16分30秒が切れないという人もまずいないでしょう。
次に、2時間30分を切っている人で、中量、つまり日常的にストレスなく走れる距離が10kmしかないという人もまずいないと思います。
これらは、理論の話ではありません。理屈の上で無理なのです。これらを達成していないと2時間30分は絶対無理、と言えるようなセットになるようなものなのです。
誰一人として同じ練習はしていない、でも、全員共通して中強度は4分30秒/kmはかからないし、5kmで16分30秒はかからないし、毎日10kmで疲れる人はいません。
これが、今回の講義で解説する部分なんです。
要するに、フルマラソンが速くなるためにこれは絶対に欠けてはダメだよね、という部分を全て抜き出してそれを鍛える為の方法論を解説します。
その上で、具体的にレースから逆算して時期を分けて、その時期ごとにやっていくべき練習方法まで具体的に解説します。
基礎構築期はどんなことをして、特別期のスピード練習、持久練習ではどんなことをして、特異期のスピード練習、持久練習ではどんなことをして、みたいなことも全部具体的に話します。
そういう意味で、体系化されたマラソントレーニング要綱というのが今回の講義なんです。
だからこそこの講義を受講すると、マラソンが速くなるのは当然として、そもそも無茶な目標を立てるということもなくなる分、目標に対してモチベーションが強くなりやすくなったり、逆に大きな目標を立てたとしても、そこに向けて具体的に自分が足りていないのはどこか?それを補うには何をしたら良いか?というようなことがわかるようになってきます。
特に今はマラソントレーニングの、情報がどこでも溢れているので「本当に大事なことってこれなんですよ」ということを一発でまとめてくれているのがこの講義だと思っております。
そんな今回の講義は具体的には、以下の内容となります。
・そもそもマラソンとはどういう競技か?
・マラソンが速くなるために必要な要素
・マラソントレーニングにおける期分け
・基礎構築期の練習
・特別期の練習
・特異期の練習
・調整期の練習
*約4時間分の講義動画
そして、この講義を受講するメリットは、以下のとおりです。
・フルマラソンが速くなる(それも、長期的に記録を伸ばし続けられる)
・目標に対してやるべきこと、強くすべきところを的確にわかるようになってモチベーションが上がる
・確実に、高い再現性を以て、効率よく、悩むことなく、走力低下の可能性低く、あなたが本来出せるはずの最高の結果を出すことが出来る
これだけの内容とメリットが詰まったこの講義は、22,000円(税込)でご受講いただけます。
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ウェルビーイング株式会社副社長
らんラボ!代表
深澤哲也
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