夏の距離走を成功させるための秘訣とは?
- 深澤哲也(ウェルビーイング株式会社副社長)
- 6月22日
- 読了時間: 7分
更新日:7月1日
突然ですがあなたは、夏場の距離走に苦しんでいませんか?
秋のマラソンで今年こそは目標タイムを達成したい。そのためにはしっかり長く走り続けられる脚を作らないと!
そんな気持ちはある一方、暑すぎて一度に長い距離を走るのが本当に辛い。本当は30km走とかしたいけど、どうしても暑くて10kmくらいでキツくなってくる。みんな、夏場の距離走ってどうしてるの・・?
そんな悩みを持ったことはありませんか?
その気持ちはよくわかります。私もそうだったからです。今から2年前の夏は、秋のマラソンでタイムを伸ばそうと意気込んで練習量を増やし、距離走もしようとしたものの、あまりの暑さにやられて25km走ろうと思ったのに15kmでギブアップ・・なんてことも珍しくありませんでした。
しかし昨年の夏は、取り組み方を変え、毎週25~30km走をこなせるようになっていました。そこには簡単なある秘訣があったのです。
今回はそんな、暑い夏でもしっかり距離を走るための練習の秘訣を紹介していきたいと思います。
1:夏場の距離走の必要性
そもそも夏に距離走をする必要はあるのか?というところから考えていきましょう。
よくネットなどの意見を見ていても、夏は距離走しなくて良いとか、トレイルでゆっくり走ってたら良いとか、いろんな意見がありますが、結論、私はロードでの距離走もやった方が良いと考えています。
なぜなら、最終的にやりたいことは、ロードでのフルマラソンをなるべく速く走る、ということであり、そこに向けた脚はロードでそれなりの距離を走ることを繰り返すことでこそ鍛えられるからです。
例えば11月16日の神戸マラソンに向けて準備する場合で考えてみましょう。この場合、最も距離走のペースを上げて、距離も伸ばしたいのはレース1ヶ月前の10月です。具体的には、10月上旬から下旬にかけて、30~40km走を、なるべくレースペースに近い強度で何度か行いたいです。
そのためには、10月に入るまでにそのレベルの距離走ができるだけの体を作っておく必要があります。30~40km走をいきなりやれと言われても、中々できるものでは無いですし、また、できたとしても体がその練習に適応できない可能性があります。だからこそ、その前段階では質は程々で良いから、一回で長く走ることに対して体を慣らしておきたいのです。
そして、その土台作りをする時期は、まさにこの夏場です。むしろ夏を逃すと、じっくり土台作りする時間がなくなります。
具体的には、夏場に20~25kmくらいはなるべくコンスタントに走っておきたいのです。もちろん本当は30kmくらいまで走れたら良いのですが、暑さも厳しいです。暑さが厳しいということは、その分ダメージも残りやすいので、その点も考慮して20~25kmくらいの距離をできれば週に一回、せめて2週に一回くらいは入れておくことで、その後の時期にしっかり距離走ができる脚ができていきます。
夏場でも距離走をやった方が良いことを確認した上で、次に問題になるのは「夏でもしっかり距離走ができるようにするためにはどうしたら良い?」ということです。それについては、簡単なある秘訣があります。それが・・・
2:強度を落として行う
結論、ペースを落とせば良いのです。というよりもむしろ、夏場はどう頑張ってもペースは上がりません。これは人間の体の特性上、物理的に不可能なことです。
なぜなら、私たちの体はどうやっても熱がこもるようにできているからです。
私たちは走ると「運動エネルギー」というものを生成します。しかし、生み出した運動エネルギーの内、7割程度は熱エネルギーに変換されます。そのため走り続けるほど運動エネルギーが生み出されていき、その大半が熱エネルギーに変換されていくので、基本的に走っていれば体温は上昇の一途をたどります。
加えて夏場に関しては、外気温も高く太陽光線も強いため、運動していなくても体温は上昇していきます。
人間の体には最適温度があり、36~37度程度となりますが、暑い環境下で運動をすることによって、この最適温度をはるかに上昇していきます。
そうなると、体の中の中枢神経が身の危険を感じて運動をストップさせようとするのです。それによって必然的にペースダウンが余儀なくされます。
そして、特にこれは長時間の運動になる程顕著に現れます。つまり距離走はまさに、夏場には厳しいトレーニングになるので、ペースを上げることは物理的にほぼ不可能になってきます。
ですが、逆に言えばペースさえ落とせば体温の上昇の度合いはある程度抑えられるわけです。ペースが遅い=生み出される運動エネルギーの量が少ない=熱エネルギーも少ない、ということになります。あとはうまく水を被ったり、水分を補給したりすれば、だいぶ走りやすくはなります。これがペースを落として行うのがおすすめである理由です。
内在的負荷の存在
加えて、夏場の距離走はペースを落としても良いもう一つの理由があって、それは夏場は暑さによる「内在的な負荷」をプラスして考えることができるということです。
例えば、冬場の1km5分ペースと、夏場の1km5分ペースは、物理的速度は同じですが、主観的なきつさは全然違うと思います。
これは単純に夏場の方が暑熱環境に晒されることによる、内在的な負荷(目に見えない負荷)が余分にかかっているということであり、それも考慮していくと、同じペースで走ったとしても夏場の方がより高負荷なトレーニングになっているということになります。
つまり、夏場の距離走に関してはペースを多少落として走ったとしても、体にかかる負荷としては十分であり、本来欲しい負荷をかけることが十分に可能であるということです。
3:分割してたくさん走るのはどう?
夏は暑いから、距離を分割して距離走を行うという考え方の人もいるでしょう。
これは完全にナシとは言えません。一つのやり方として考えても良いでしょう。しかし、それが全てになるよりは、やはり一度に長く走る日も作った方が良いことは間違いないと思います。
実は私自身、2年前の夏にこの分割するやり方は試しています。その年の夏も暑さがひどく、私は暑さに耐えられずに距離走を何度も失敗しました。
そこで取り入れたやり方が、分割して本来走りたい距離を走るということでした。30km一気に走るのがしんどいから、10kmを3回に分けて走るみたいなことを何回かやりました。
結果として、その年は9月末ごろまでとても暑かったこともあって、まともに距離走をやり始めたのが10月に入ってからになってしまいました。
するとどうしても「速いペースで走り続ける」ことができる脚が仕上がらずに、11月の福知山マラソンでは脚が攣りまくって、ひどい状態になってしまいました。(下記の動画がその時の様子です。)
この経験からも、やはり暑くて距離走がやりづらかったとしても、ペースを落としてでも良いから一気に長い距離を走る日を作った方がマラソンのための脚づくりには直結すると感じました。やはり一本ごとに5分とか10分まるまる休んでいると、体の中で起こる生化学的な反応は少し変わってくるからです。
いかがでしょうか?今回はこの夏場に距離走を行うことの必要性や、夏場の距離走を成功させるための簡単な秘訣を紹介させていただきました。
土台づくりのための距離走なら、やはりレースペースの80%くらいはペースとして欲しいところではあります。ですが、最悪それを下回っても、暑さによる内在的な負荷がかかっていたらそれでエエか、という感覚でやっていっても全然良いと思います。
夏場は目に見える数字の負荷だけでなく、実際に暑さによって余計にかかっている負荷もしっかり考慮して練習を組んでいくようにしましょう。
そうすると継続的なトレーニングができて、暑さが和らぐ頃には一気に状態が上がってきて、飛躍的にタイムの向上が待っていますよ^^
また、具体的に夏場の練習でペースや距離などはどう調整したら良いのか?夏場の練習をうまくこなすコツとは?
こうしたことを知りたい方はぜひ、電子書籍「夏場のトレーニング論」を読んでみてください。
私も毎年夏に読み返しますが、この長距離ランナーにとって忌々しい夏の暑さの中でもしっかりと鍛錬を積むための秘訣が、ここに書いてあります!
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それでは、熱中症にだけは気をつけて、頑張っていきましょう!
ウェルビーイング株式会社副社長
らんラボ!代表
深澤哲也
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