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マラソンサブ4を目指している人がやってしまいがちな5つの間違い

更新日:10月3日

 マラソンサブ4、つまり4時間切り。これはマラソンを走る全ての人(上級者から遊びで出ている入門者含む)の中で上位30%に入る数字であり、ここを一つのラインとして目指す人も多いでしょう。


 ですが、ここを目指す人が犯してしまいやすい間違いや誤解がたくさんあるのです。その原因として、サブ4レベルくらいの規模感だと、とにかく情報量が多いことも一つあります。


 例えばマラソンサブ2.5以上のレベルになってくると、そもそも目指す人の絶対数が少ないのでネットでちょっと検索したりするくらいでは中々情報が出てこないのですが、サブ4という数字は目指す人数も多い分、供給される情報も多いです。


 また、サブ4は目指す人も多ければ、既に達成した人も多い領域です。年齢と性別的な条件が良ければ(例えば20〜30代男性とか)、練習をそんなに頑張っていなくても達成する人は達成します。そして、そういう人が口にすることは「サブ4くらいならそんなに頑張らなくてもいけるよ!」ということです。


 確かに、サブ4ということ自体は難しいことではないと私も思います。ですが、それは適切にちゃんと練習を積み上げていっての話です。人によってはそれがなくてもできると思いますが、基本的にはサブ3.5やサブ3以上を目指すランナーと同じ考え方に則って、長期的にトレーニングを組んでいくべきなのです。


 ですが、飽和するほどの情報が供給されている上に、間違った内容のものも散見されるのがサブ4レベルの世界です。その結果として、誤った認識を持って間違いをしてしまう人が後を絶ちません。今日はその中でも特によく見られる代表的な間違いを紹介していきます。


マラソンサブ4を目指す人がやってしまう間違い1:練習量・頻度が少ない

 まずは圧倒的にこれです。とにかく練習量・頻度が少ない人が多い傾向にあります。逆にいえば、練習量が少ないからサブ4できない、ということになります。極端な話、練習量さえある程度増やしていけば多くの人にとってサブ4は現実的な数字であると私は考えています。


 具体的には、月間200km以下です。この数字自体は、それぞれの生活スタイルの中での結果なのでまだ良いのです。本当の問題点は「サブ4レベルなら練習量は少なくてもいい」と思い込んでいる方が一定数いらっしゃるということです。


 とんでもないです。むしろサブ4を目指す人は、サブ2.5やサブ3を目指す人よりも競技時間は長くなります。つまり、長い時間接地の衝撃に耐え続けないといけないし、足で体重を支え続ける必要があるし、長い時間の集中力が必要になります。だから本来は、練習内容もそれに準じたものであるべきなんです。


 とはいえ、ただいたずらに長い時間練習すれば良いのかというと、もちろんできるに越したことはないですが、お仕事もある中では現実的ではないでしょう。そういった事情もあるということと、あとはそもそもサブ4を目指す方の場合、まだまだランニングが習慣化されていないケースもあるので、余計に「少ない練習量でサブ4はできます」といった類の情報に流れていきやすいのだと思います。


 これ自体は仕方のないことですが、とはいえそれが効率の良い方法かというとそうでもないですし、少ない練習量だからこそ余計に苦労することになる場合もあることは理解しておかなければいけません。


 練習量や頻度が少ないと、どうしても体が中々長距離仕様になりません。だから、いつまで経っても走ることそのものがしんどいのです。それでもだんだん体は慣れてきますが、やっぱり週の中で走らない日が3日も4日もあったりするとどうしても体の変化は遅いです。


 その結果、しんどいなあ、と思いながら走ったり、頑張ってる感をどこかずっと抱えながらのランニングになるので、ランの本来の楽しさまで辿り着けない。そのような状態で、「少ない練習量でもいいんですよ!」という情報を目にしたら、それは飛びつくと思います。私でもそうなります。


 しかし、それは真理ではないということはぜひ知っておいていただいた方が良いと思いますし、何より一回一回の練習は楽にして、走る頻度を上げるだけでももっと楽に速くなれるので、これを知らないというのは勿体無いことです。


マラソンサブ4を目指す人がやってしまう間違い2:距離走が不足している

 これは練習量が少ないところから関連する話ですが、サブ4を目指している人のトレーニングの傾向として、距離走が不足しているということがあります。マラソンの為の距離走とは一般的には30km以上の練習です。こういう距離走が明らかに足りていないケースが多いのです。


 とはいえ、全くやっていないというわけでもないことが多いです。この距離走の取り入れ方にもある傾向があって、それはレースが近づいてきたタイミングで急にレースペースでの30km走をポンと入れ込んでいたりする、ということです。


 ここにも巷に溢れる情報が影響していると考えています。こんなような情報、見たことないですか?


「サブ4レベルなら距離走は不要」

「レースの3週間前に、レースペースでの30km走を一本入れておけばOK」


 このような情報を鵜呑みにしてしまった方の練習メニューは、見れば一発でわかります。どうなっているかというと、大体のケースで普段の練習で距離走はほとんど入っていなくて、レースの3週前くらいになって急に高強度な30km走を入れ込んでいるというパターンです。もしくは、フルマラソンに出場して全力で走っているというケースです。


 先述したように、年齢や性別などステータス条件が良ければ、そういうやり方でもサブ4を達成する人は全然います。ですが、基本的な考え方としてはやはり距離走はマラソンやるならやっぱりメインディッシュとなるようなトレーニングです。そして、その距離走は30kmとは言わず、できるなら35km、40kmとフルマラソンに近づけていくことが望ましいです。


 その為に重要なことは、基礎づくりの段階から極力20kmくらいの距離の練習をある程度コンスタントに入れていくということです。普段の平日にはほとんど練習を積み上げていないのに、レースが近づいてきたら急に高強度な距離走を入れるというやり方だと、段階が踏めていない分、その距離走自体が苦しい練習になりますし、あとはできたとしてもその練習の負荷に体が適応できず、十分な効果を得られない可能性もあります。


 だから、レースから遠い時期からできるだけ20km以上の距離走をコンスタントに入れること、そして距離走の距離を徐々にでも延ばしていくことは、サブ4を目指す人にとっても取り組んだ方が良いことなんです。


マラソンサブ4を目指す人がやってしまう間違い3:スピード練習の強度が高すぎる

 一つ前では距離走について言及しましたが、実はスピード練習に関してもやってしまいがちな間違いがあります。それが強度が高すぎることです。強度が高すぎるというのはつまり、設定ペースが速すぎるということです。


 設定ペースが速すぎるとどうなるかというと、本数がこなせなくなります。サブ4を目指している人の練習を聞いてかなり多いのが、距離走が不足している割には、スピード練習の強度が高すぎるというパターン。具体例を出すと、1000mインターバルをするときに大抵の場合5本なんです。


 フルマラソンの為のインターバルとして行うなら、正直なところ5本では少ないです。やっぱりできれば10本くらいまでは増やしていきたいところです。でも、10本というとよく言われるのが「それは市民ランナーには多すぎますよ」ということです。


 確かに、10本という数字だけ見たら多そうに感じるのはとてもよくわかります。ですが、決してそんなことはありません。ペースを落とせば良いのです。ペースを落とすと追い込めない、それではインターバルの意味がないと思われるかもしれません。ですが、インターバルというのはそもそも追い込むことが目的の練習ではなく、レースペースやレースペースよりも少し速いペースに対して体を慣らしておけば良い、くらいの練習なんです。


 もっと言うと、そもそもインターバルという練習をやる必要があるのか?というところから考える余地はあると思います。というのも、1000mを10本くらいできるまでペースを落とせば、それはもしかしたら別に休息を挟む必要のないペースかもしれないからです。要するに、10km続けて走る「テンポラン」という練習になるということです。そうなってくると、その人にとってはサブ4をする上で、そもそもインターバルという練習自体が不要になるということです。


 ちなみにこれは一人で練習している人というよりは、練習会によく足を運ぶ方に見られる傾向です。


マラソンサブ4を目指す人がやってしまう間違い4:サブ3.5やサブ3レベルの人とは別と考える

 これも勿体無いです。自分はサブ4を目指しているから、サブ3.5やサブ3の人とは全く別の次元であると考えてしまうということなのですが、こういう考え方は飛躍のチャンスや可能性をかなり閉ざしてしまっているので、とても勿体無いです。


 サブ3でもサブ3.5でもサブ4でも、原理原則は変わりません。サブ4の為のトレーニング理論はありません。あるのは、フルマラソンのトレーニング理論です。この中身のレベルが目標タイム毎に変わるというだけで、考え方ややり方そのものは変わりません。


 ですが、実際に多くの方がサブ4の為のトレーニング理論や秘訣というものがあって、それはサブ3の為の理論や秘訣とは別物だと思ってしまっています。でも、全くそんなことはありません。フルマラソンというスポーツは、どんなタイムで走る人であっても、本質的には42.195kmをいかに速く走るか?というスポーツです。これは、レベルはどうあれ普遍の事実です。



マラソンサブ4を目指す人がやってしまう間違い5:走り方を変えることに注力する

 走り方からアプローチしたくなる気持ちはとてもよくわかります。なんなら、私も元々は走り方を変えることでなんとか速くなるのではないかとずっと考えてきた人間で、数々の国内外のトップランナーの走りを研究していましたから。


 ですが、それは幻想だったんです。そもそも、フルマラソンを走り切るために一番大事なことってなんだと思いますか?


 答えは、脚の筋持久力です。つまりゴールまで持つ脚があるかないか、です。これがなければもう、どうにもなりません。どれだけ心肺機能が強くても、走り方の99%が大迫傑さんと一致していても、どうにもなりません。


 脚の筋持久力は車で言えばタイヤです。後半に脚がもたなくなって歩いてしまうのは、いわばパンクしている状態です。どんなに良い車でもパンクしていたら走れませんよね。


 そして次に大事なもの、、これも走り方ではありません。体の代謝システムです。平たく言えば、どれだけ「速く」そして「大きな」エネルギーを生み出せるかです。車で言えばエンジンですね。


 では走り方はなんの役に立つのか?ということですが、これは代謝によって生み出したエネルギーをより省エネにすること、そして筋持久力を消耗しにくくすることに役に立ちます。特に前者にとって効果的で、走り方が良くなればランニングエコノミーが向上し、いわゆる「燃費が良い状態」になるわけです。


 こういうと「じゃあ走り方も大事じゃないか」と言われると思います。確かに大事です。ですが考えてみてほしいのは、走り方を変えたことで体の最大値は上がっていますか?ということです。走り方が変わっても、それで大きなエネルギーが生み出せるわけではありません。今生み出せるエネルギーを「節約」できるだけなのです。


 要するに、そもそもの自分のMAXのパワーが上がらなければ、走り方を変えても元も子もないのです。ほぼ間違いなく、そもそもの体の代謝速度を上げたり、筋持久力を上げることと、走り方を変えること両者のメリットを比較したら、圧倒的に前者の方が大きいです。


 そして、その代謝速度の向上や筋持久力の向上は距離走やトータルの練習量・頻度によって達成されます。だから、走り方を変える取り組みをするよりも、そもそものトレーニングの組み方を考えていく方がより効率的なんです。


マラソン4時間切りに必要な要素

 ここまで、マラソンサブ4を目指す人がやってしまいがちな間違いについて書いてきましたが、最後にマラソンサブ4を達成するためにはどのような要素が必要になってくるのか?ということを書いて終わりたいと思います。ズバリ必要なのは以下の要素です。


  • 最低限のスピード持久力の確保(5キロ26分20秒切り)

  • 日常的に走れる基礎体力作り

  • マラソンに特化した筋持久力

  • 日常的に走れるマラソンの心作り(習慣化)

  • 長時間走り続けられる心作り


 まずはそもそも5kmを26分20秒は切れないと、サブ4は少し難しいかもしれません。その根拠は、市民ランナーの場合の多くは、マラソンのタイムは5kmの全力のタイムから+2分のペースが大体上限になるからです。


 つまり、サブ4するには5kmは28分20秒で刻んでいく必要がありますので、まずはそこから最低ー2分となる26分20秒では走れていたいということです。


 その上で、先ほどお話ししたような日常的に走れる基礎体力づくりをどれくらいできるかが大事です。基礎体力ができれば、継続的な距離走も可能になってきて、また走ることも習慣化するので、長い時間走る集中力もついてくるでしょう。


 全ては一段一段、少しずつでもステップアップしていくことが重要です。目先の情報についつい飛びつきたくなることはありますが、そこをグッと堪えてやるべきことを淡々とやっていく方が、結局は良い結果につながりますし、あとは案外楽にサブ4を達成できたりすると思います。


 さて、今回はフルマラソンサブ4に関してよくある間違いを解説させて頂きました。最後に、マラソンサブ4に必要な要素は分かった。では具体的にどんな練習をしたら良いのか?と思われた方に朗報です。


 この度、マラソンでサブ4を目指す方のための12週間のトレーニングプログラムを、動画解説付きでお渡しする商品が完成しました。それが「マラソンサブ4の為の12週間のトレーニングプログラム」です。


 こちらは元プロランナー、ウェルビーイング株式会社代表の池上秀志が、過去5年間で数百人のランナー様のサブ3やサブエガ、サブ3.5、サブ4達成をサポートした経験を基に作成した、マラソンサブ4の為の具体的な12週間分のトレーニングプログラムを動画解説付きでお届けするものです。


 動画は約50分の内容で、トレーニングメニューを出して、なぜその練習を入れたのか?という意図や、もし変更するなら?という代替案なども解説した内容で、簡単で分かりやすい内容となっています。

 

 マラソンでサブ4をしたい方は、そのまま真似するもよし、参考にしてアレンジするもよし、いろんな使い方ができます。

  

 こちらの講義動画は、10月6日(月)までの期間限定販売で、価格は1,650円です。

 

 ぜひご希望の方は今すぐ、下記よりご購入下さい。



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ウェルビーイング株式会社副社長

らんラボ!代表

深澤哲也



 
 
 

ランニング書籍

講師紹介
​ウェルビーイング株式会社代表取締役
池上秀志

経歴

中学 京都府亀岡市立亀岡中学校

都道府県対抗男子駅伝6区区間賞 自己ベスト3km 8分51秒

 

高校 洛南高校

京都府駅伝3年連続区間賞 チームも優勝

全国高校駅伝3年連続出場 19位 11位 18位

 

大学 京都教育大学

京都インカレ10000m優勝

関西インカレ10000m優勝 ハーフマラソン優勝

西日本インカレ 5000m 2位 10000m 2位

京都選手権 10000m優勝

近畿選手権 10000m優勝

谷川真理ハーフマラソン優勝

グアムハーフマラソン優勝

上尾ハーフマラソン一般の部優勝

 

大学卒業後

実業団4社からの誘いを断り、ドイツ人コーチDieter Hogenの下でトレーニングを続ける。所属は1990年にCoach Hogen、イギリス人マネージャーのキム・マクドナルドらで立ち上げたKimbia Athletics。

 

大阪ロードレース優勝

ハイテクハーフマラソン二連覇

ももクロマニアハーフマラソン2位

グアムマラソン優勝

大阪マラソン2位

 

自己ベスト

ハーフマラソン 63分09秒

30km 1時間31分53秒

マラソン 2時間13分41秒

​ウェルビーイング株式会社副社長
らんラボ!代表
深澤 哲也

IMG_5423.JPG

経歴

中学 京都市立音羽中学校

高校 洛南高校

↓(競技引退)

大学 立命館大学(陸上はせず)

​↓

大学卒業後

一般企業に勤め、社内のランニング同好会に所属して年に数回リレーマラソンや駅伝を走るも、継続的なトレーニングはほとんどせず。

2020年、ウェルビーイング株式会社の設立をきっかけに約8年ぶりに市民ランナーとして走り始る。

感覚だけで走っていた競技者時代から一変、市民ランナーになってから学んだウェルビーイングのコンテンツでは、理論を先に理解してから体で実践する、というやり方を知る。始めは理解できるか不安を持ちつつも、驚くほど効率的に走力が伸びていくことを実感し、ランニングにおける理論の重要性を痛感。

現在は市民ランナーのランニングにおける目標達成、お悩み解決のための情報発信や、ジュニアコーチングで中学生ランナーも指導し、教え子は2年生で滋賀県の中学チャンピオンとなり、3年生では800mで全国大会にも出場。

 

実績

京都府高校駅伝区間賞

全日本琵琶湖クロカン8位入賞

高槻シティハーフマラソン

5kmの部優勝 など

~自己ベスト~

3,000m 8:42(2012)
5,000m 14:57(2012)
10,000m 32:24(2023)
ハーフマラソン 1:08:21(2024)

​マラソン 2:29:44(2024)

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