スピード練習苦手な方はまず、この3種類のスピードワークからやってください
- 深澤哲也(ウェルビーイング株式会社副社長)

- 1 日前
- 読了時間: 9分
突然ですがあなたは「スピード練習」に苦手意識を持っていませんか?もしそうだとしたら、もしかしたら以下のことが原因かもしれません・・・
1:設定ペースが速すぎる(一回一回で追い込みすぎている)
2:いきなりレースに近い内容でやっている
3:体がスピードに対して慣れていない
まず、スピード練習というとつまり「追い込むことだ」と思っている方が少なくありません。これは誤りです。スピード練習はあくまで、レースペースに慣れるために行うものであり、レースペースより速くいけば行くほど良いものではありません。
次に、いきなりレースに近いようなインターバルをするのも良くないです。例えば5km20分を切りたいと思って、いきなり1km×5本を4分でやろうとする。これは中々きついです。なぜなら、1km×5本を4分でやれる時点ですでに、5km20分で走れる可能性が高いからです。問題はそもそもどうやったら1km×5本を4分でできるようになるのか?ということなのです。
最後に、体がそもそもスピードに対して慣れていないことも考えられます。普段全く速い動きをやらないのに、スピード練習の日だけいきなり速い動きをしようとしたら、それは当然きついです。スピード練習ができるだけの体の状態になっていないから、毎回のスピード練習がきつい、という状況なのです。
スピード練習が苦手だと思っている方は、これらいずれかに当てはまっていることが非常に多いです。そんな方にはぜひ、私が今日紹介する3つのスピードワークを試してみていただきたいです。
なぜなら今日紹介するスピード練習は、体をスピード練習ができるような状態にするために使えるものであり、実施すること自体はさほど難しくない、簡単なものだからです。それでは早速行きましょう。
1:補助的スピード練習
まずは補助的スピードというものを挙げたいと思います。これは文字通り「補助的」に行うスピード練習であり、いわば「流し」のようなものです。
もう少し平たく言えば、簡易的なスピード練習のことです。例えば、200m×5本とか、300m×3本とか、1km×1本とか、そういったものです。この補助的スピードに厳密な定義はありませんが、強いていうなら合計疾走距離が1km前後になるくらいのインターバルだと思ってください。
これにはとても大きなメリットがいくつもあります。まず第一に、これくらいの分量であれば疲労を持ち越したり、故障するリスクがかなり少ないです。
次に、これくらいの分量でも心肺機能に対する刺激としては強いため、インターバルトレーニングで欲しい練習効果を得ることができます。具体的に言えば、呼吸が荒れる程度の強度、最大酸素摂取量付近の練習強度を体にかけることができ、心肺機能の向上に繋がります。
加えて、速い動きに対する慣れを作ることができます。トレーニングの基本は有酸素ランニングであり、レースペースよりも遅いペースでのランニングです。しかしながら、体は使っていない機能は忘れていくという特性を持っており、ずっとゆっくりのペースばかりで走っているとどうしても速い動きを忘れてしまい、久々に速い動きをした時にとてもキツく感じることがあります。
そこでこのように、普段の有酸素ランニングの後に部分的にでも補助的スピードを入れておくことで、速い動きへの慣れを作ることができます。それが、その先に行う本格的な、レースに近いようなインターバルトレーニングを行うための下準備になるということです。
なお、この補助的スピードのペースについですが、これは距離によって変わってきます。例えば200m×5や300m×3くらいであれば、1500m~5000mレースペースくらいで行うのがおすすめです。そのペースがわからない方は、大体これくらいの感覚なら3km走れそうかなとか、5km走れそうかな、くらいのざっくりした感覚で結構です。
大事なのは速い動きを体に覚えさせておくということであり、また少量の強い有酸素刺激を体にかけるということです。それが達成できれば、なんでも良いのです。
2:登坂走
次に登坂走という練習を紹介します。これは坂道を登るインターバルトレーニングのことです。これまたとても大きなメリットがいくつもあるんですね。
まず一つが、最大筋力を高めることができるということです。坂道を登るときは、斜面下向きの力がかかります。つまり、上からかかる重力に逆らって、自分の体重を持ち上げて運ばなければなりません。これが平地と比べて非常に強い負荷になり、最大筋力の強化につながります。
最大筋力が高まると、平地で走った時に以前よりも楽にスピードを出せるようになったり、また平地でスピードを出した時に故障しにくくなります。
そして次に、登坂走自体は故障のリスクがとても低い割に、非常に強い心肺機能への刺激をかけられるというメリットもあります。
なお、実施する際の距離については、短ければ200m、それを10本〜20本程度行うのが良いでしょう。もしくは400mなら8~12本程度、1kmなら5~8本程度くらいが良いでしょう。
斜度についてはあまりきつすぎると平地で走る時と比べて動きが変わりすぎるので、5%前後がおすすめです。なだらかな坂があれば望ましいと言ったところです。
3:ファルトレク
最後に紹介したいのがファルトレクという練習です。これは一言で言えば「時間で区切るインターバル」だと思ってください。
例えば、1分速く走って1分ゆっくり走る、みたいなことを15set~20set程度繰り返したり、2分速く走って1分ゆっくり走るのを10set繰り返したり、と言ったやり方です。
これのメリットは、ペースを気にしないでノンストレスでできるということです。厳密に距離と設定ペースを決めて行うインターバルトレーニングでは、かなり高い集中力が求められますし、また練習会などで集団で行った場合はついエキサイトしてペースが上がり、故障のリスクも高くなります。
ですがファルトレクであれば、そもそもペースも距離もわからないので、心理的ストレスがとても低いです。また設定ペースなるものもないので、失敗という概念が存在しません。
ですのでファルトレクをやる場合に注意すべき点としては、GPS ウォッチなどで現在の暫定ペースを見ないということです。今のペースを見てしまうと、ついそれを維持しようと頑張ってしまうので、普通のインターバルと変わらなくなります。それよりも体の感覚を重視して行ってください。
ここまで、3つの種類のスピードワークをお伝えしてきました。
これらはすべて本格的な、レースに近いインターバルをする前段階において使える、いわば下準備のようなスピードワークです。
例えば一つ目の補助的スピードであれば、これを週に2回程度実施しておけば、いざ本格的なインターバルをやろうと思った時にも体が対応しやすいでしょう。
二つ目の登坂走については、基礎作りの時期に週一回だけでもやっておけば、その後レースが近づいてきた時期に本格的にインターバルをやった時に故障のリスクを抑えられるでしょう。
三つ目のファルトレクについては、本格的なインターバルに入る前に一回挟んでおくことで、インターバルに移行する前のワンクッション挟むことができ、インターバルをやった時の余裕度が上がったり、スムーズにインターバルに対して体が適応できるでしょう。
このように、いきなり5kmのために1km×5本やる、みたいな本格的なインターバルをする前に、ぜひ取り入れてみて欲しいのが今日紹介したようなスピード練習なんです。
どうもスピード練習に苦手意識があるという方も、補助的スピードやファルトレクからならやりやすいということもあると思いますし、ぜひスピード練習が苦手な方も活用していただけますと幸いです。
最後に、長距離走・マラソンがもっと速くなりたい方へお知らせです。
今日はスピード練習について焦点を当てて話をしましたが、とはいえ先述の通りトレーニングの基本は有酸素ランニングです。トップランナーであっても、練習の9割以上はレースペースよりも遅い練習です。
つまり、最終的に重要になってくるのは、レースペースより遅い練習と、スピード練習などをいかにうまく巧みに組み合わせて結果を出すか、ということなんです。
練習方法なんてものは、本当にいくらでもあり、またその組み合わせ方法なんてもう星の数ほどの数があります。その中で本当に結果が出る練習の組み合わせ方を考える上で、絶対に知っておいていただきたい法則があるのですが・・・
実はその法則について解説した書籍が「詳説長距離走・マラソンが速くなるためのたった三つのポイント」なんです。

本書は選手としては大阪マラソン日本人トップの実績を持ち、現在はウェルビーイング株式会社代表として、これまで述べ8000人以上の市民ランナーの方へランニング指導を行い、数々のサブ3やサブエガランナーを誕生させてきた池上秀志が書いたもので、トレーニングにおいて絶対に見落としてはいけない法則について解説した、まさに長距離走・マラソンが速くなりたい全ての市民ランナーの為に書かれた本です。
著者である池上秀志は、プロランナーとして自分の脚で稼ぎ生計を立てるべく、世界の一流指導者、一流選手の元に直接行って指導を仰ぐため、ケニア、ニュージーランド、ドイツ、オーストリアなど海外を単身で飛び回ってマラソンが速くなる真理を追求しました。
さらに洋書・和書問わず数百冊の本を読み込み、膨大な知識を身につけました。その結果として辿り着いた、トレーニングをする上で絶対に万人に当てはまるとある法則をこの本で語ってくれています。私自身、この本を読んでから3年後には、マラソンが3時間16分から2時間29分まで短縮できていますが、その経験からも本書は書店にあるどの本よりも本質を突いた本だと確信しています。
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ウェルビーイング株式会社副社長
らんラボ!代表
深澤哲也




























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