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長距離ランナーにとって一番辛いこと

更新日:1月31日

 長距離走で最も辛いことって、なんだと思いますか?

 

 私はこれまでの経験から、長距離走にとって最も辛いことの一つは故障だと思っています。

 

 長距離走における故障は、走れるレベルのものから、もはや走ることすら困難なレベルのものまであります。

 

 また故障をすると、それが例え走れるレベルのものであったとしても、まるで常に魚の骨が喉に刺さっているかのような感覚でスッキリと走れないことが続きます。

 

 そして、もはや走れないレベルの痛みになると、そもそもランナーでは無くなってしまいます。そりゃあ、相当なフラストレーションが溜まりますよね。

 

  とにかく、私はこれまで何度も故障を経験しました。


 その中でも今日は特に辛かった故障の体験をお話させていただきます。

 

 私がこれまでで最も大きな故障をしたのは、高校2年の時です。

 

 この年私は、3月に行われた九州の強豪校との合同合宿に参加しており、そこで無理をしてシンスプリントを患ってしまいました。

 

 シンスプリントを簡単に説明しますと、要するにスネの内側にある後脛骨筋周りに炎症反応が起きている状態で、着地したり離地したりするたびにすこぶる痛む故障のことです。とにかく一歩一歩で痛いので、とてもストレスが溜まります。

 

 ですがこのシンスプリントというのは、中長距離を走る選手にとっては珍しくなく、上手く付き合えば走りながら治せる故障です。もはや「お馴染みのヤツ」的な感じであり、皆大体「まあ何とかなるやろ」みたいな感覚にはなりがちです。

 

 そのため私も、シンスプリントなら大丈夫!と思って、約2週間続いた合宿を最後まで走り抜けました。


 ーそして、事件はその後京都に戻ってから起こりますー

 

  合宿から帰った翌日、家で目を覚ますとあまりの痛さに立てないのです。

 

 こんなことは初めてでした。あまりにも痛くて、走るなんてことは想像もできず、立つことすら困難な状態で、なんとか学校まで朝練習に行きました。

 

 しかしこんな状態でも、私は監督には足の痛みを訴えませんでした。いや、むしろ隠したかったのです。

 

 私はこの年、インターハイで全国大会に出ることを最大の目標にしていました。

 

 それは、私の夢のためでした。当時私にとっての最大の夢は、箱根駅伝を走ることでした。そのためには少なくとも関東の強豪校に行く必要があります。

 

 そして関東の強豪校に陸上で行くためには、当然競技実績による基準があります。その基準の一つが、高校2年生での全国インターハイ出場というものでした。だから、陸上で関東の大学に行きたい私は、何が何でもその年の全国大会に出場しないといけなかったのです。

 

 そして4月になり、京都の春季大会を迎えました。残念ながら、私の思いとは裏腹に、私の足はどんどん悪化の一途をたどりました。この春季大会で、まずはインターハイ京都府予選の出場権を取らないと、そもそも全国インターハイまでの道のりがそこで終わってしまうのですが、そんな状況に立たされた当時の私は、とてもじゃないですが足が痛いなんて言い出せませんでした。


 とにかく足が痛い。でも、それを先生に言ったらレースに出させてもらえない。じゃあどうするか?そう、その日から私はロキソニンと恋人になりました。毎日、朝練習と午後練習の2回、トレーニング前にロキソニンを服用しました。

 

 まるで飲み会前にペパリーゼを飲んでいくOLのようなノリで、私はひたすらジャンキーのようにロキソニンを服用して練習を続けました。

 

 もちろんこんなことは、根本的な解決にはなりません。痛みが消えているわけではなく、痛みを感じなくさせているだけですので。

 

 そんなことを繰り返していくうちに、私のシンスプリントは悪化し、しまいには疲労骨折してしまいました。

 

 これにより私は3ヶ月まともに走れなくなり、高校2年のインターハイは夢に消え、更にはその後駅伝に向けた基礎トレーニングにも多大なる影響を及ぼしました。春から夏にかけて全く走れなかったので、夏の基礎構築期にも全然大した練習ができず、結局駅伝シーズンも棒に振りました。

 

 そして、ついに関東の大学からオファーはなく、箱根駅伝も夢に消え、陸上人生は文字通り変わってしまったというわけです・・・


故障の中の”4つのフェーズ”

 

 この体験の中で、私の故障はこのように変化していきました。

 

フェーズ1:着地の時にたまに痛む(軽いシンスプリント)

フェーズ2:毎回の着地で痛む(しっかりシンスプリント)

フェーズ3:ロキソニン飲んでも走ったら痛む

フェーズ4:立っているだけでも痛む(疲労骨折)

 

 今から思えば、フェーズ1、せめてフェーズ2の時点でもっと上手く対処すれば、人生が変わってたのかもなと思うと、今でも悔しくて悔しくて、、

 

 だから当時のことについては、あまり深く思い出さないようにしています(もちろん、今の人生には満足しています)。

 

 フェーズ1の時に練習量も強度も落とさず、同じやり方を続けた結果、慢性化してフェーズ2へ移行し、そしてさらに無理を続けた結果、フェーズ3へ行きました。

 

 こうなったらもう、走りながら治すのは無理だと思います。そう考えるといかにフェーズ2の時点までで、走りながら何とかするかということがポイントになると思います。

 

 そして上手く対処するというのは、走ることをやめるとは限らないということも忘れてはいけません。

 

 これは私が市民ランナーになってからの体験です。私は一度、内くるぶしが地味に痛む後脛骨筋炎(こうけいこつきんえん)という故障に半年間苦しみました。

 

 この時、発症初期は高校時代の教訓を活かして、とりあえず走るのをピタッと止めてみたのですが、1ヶ月経っても一向に良くなりませんでした。

 

 ですがその後代表の池上に相談して、LLLT(※色んな意味でとてつもない治療器具)の使用と慢性的な故障への対処を学んだことで、走りながらでも2週間ほどしたら痛みが引いていきました。

 

 この後脛骨筋炎の時も、私は近くの整形外科クリニックで診察してもらいましたが、基本的にお医者さんからは「安静にしてください」としか言いません。

 

 それはそうです。だって彼らは医療の専門家であって、ランニングの専門家ではないですからね。それに、立場上そうとしか言えないことだってあるでしょう。

 

 ただ、それでも良くなることはなく、その後結局走りながら上手く対処して治すことができました。

 

 こうした経験から、私は慢性的な故障への対処というのは、ただお医者さんに言われるがまま走ることをやめることがベストな方法ではなく、長距離走ではできる限り走りながら対処していくことも大切だという考えに至りました。

 

 そしてその前提として重要なのは、痛みのレベルがまだ走れる程度の段階でトレーニングを変更してしまうことです。

 

 3日軽くジョギング程度にしておいて治るくらいなら、そうした方がいいです。

 

 その3日間にインターバルとか距離走とか無理に入れて、結局2週間くらいかかったりする、、なんてことはザラですからね。

 

 ということで、今日は私の故障体験についてのお話でした。いかがでしたか?


 故障は、ないに越したことはありません。私も今は市民ランナーとして走っているので、当時みたいに「人生かけて走る」ということはありませんで、故障したとしても人生には何ら影響はありません。


 しかし・・・そういうことじゃないんですよね!(これはあなたもきっと共感してくださるはず)


 私たち市民ランナーにとって走ることは、仕事じゃない。生きるために必要なことじゃない。ですが、とにかく好きなんですよね。


 私が大好きな漫画「進撃の巨人」に、ジークというキャラクターが出てきます。そのジークのとある名台詞


「なんの意味もない。でも確かに、俺はずっとキャッチボールをしているだけでよかったよ」というものがあります。

 





*進撃の巨人第137話より(筆者注:ジークは髭面の男です)


 ジークは、人間の生きる意味は増えようとすること(繁殖すること)だけだと信じていました。しかし、その人生が終わる寸前、自分自身が一番生を実感できて、幸せを感じる瞬間は、かつて幼き頃、自身が慕っていた人生の師とただ何気なくキャッチボールをしていた時だったと気付いたのです。繁殖することとは何ら関係のないキャッチボールという行為が、実は人生においてとても大きな意味を持つことに気付いたのです。


 私たちにとっての走ることは、このジークにとってのキャッチボールなのではないでしょうか。走ること自体は生きることに対して直接的な意味はない。ですが、故障して走れないという状況は、まるで人生の中から大切な原色の一つが失われたような、そんな味気ないものではないでしょうか。


 だからこそ、故障はしないに越したことはありません。しかし、悲しいかな、真剣に走れば走るほど、一定の確率で故障は発生します。それは人間である以上仕方ないのです。


  ですが、その故障が起きる確率を自分の手で下げることは可能です。そして、故障してしまった場合、そこからの復帰を早めて走力低下の被害を最小限にすることも可能です。


 それを可能にするのは「故障との付き合い方」に関する正しい知識です。そして、この度、その知識を徹底的に解説した新講義動画「故障の治し方と故障との付き合い方」を新たにリリースさせていただきます。


 この新講義は私が講義者の池上にリクエストして制作することが決まりました。なぜならこれは、真剣に走っているランナーにとっては、トレーニングの知識と同じように絶対に持ち合わせておくべき知識だからです。


 私はここ最近は、故障はしていません。ですが、絶対にもうしたくありません。だから、故障しないための知識を改めて勉強したいな、と。


 しかしながら、無情にも走っていればいつかは故障することはあります。その時に困りたくないな、と。


 そんな想いから池上にお願いして、この講義を作ってもらいました。なぜなら彼は「故障のプロ」だからです。


 私自身、19年間のランニング生活の中で傷めたことがないのは腰だけと豪語するほどには故障を経験しています。疲労骨折も判明しているだけで5回はあるとのことですし、足底筋膜炎は右足が4年間、左足が2年間(重複期間あり)でした。


 考えてみてください。4年間ですよ?前のオリンピックの時から、今回のオリンピックまで、ずっと足が痛いんですよ。もう、治らないんじゃないかって思いますよね。


 実際彼はそう思ったことも何度もあったようです。ですが、そこから立ち直って、今は来たる大阪マラソン2025に向けてトレーニングを積んでいます。聞くところによると、今回は自己ベストも狙えるかもしれないくらいに仕上がってきているみたいですよ。


 そんな数々の辛い故障の経験をしてきた彼から、故障との付き合い方を学びたいと思ったのです。そしてこれは、絶対に市民ランナーの方にもお役に立てるものだと思ったのです。


 そうして作ってもらっている故障との付き合い方に関する講義は、以下の内容を予定しています。


・故障の原理。故障は何故発生するのか?


・慢性的な故障の原理。何故数か月も治らない故障が存在するのか?


・最も有効な故障の治し方


・ストレッチは有効か?


・慢性的な故障のための食事とサプリメント


・故障と薬(非ステロイド系の抗炎症薬とステロイド注射)


・その他の様々な治療方法


・故障中の練習と故障からの復帰練習の組み方


 上記の内容で解説する本講義は、2月1日(土)リリースを予定しています。


 特に、故障に悩んだことのある人、現在悩んでいる人、まだないけど、真剣に長距離走やマラソンに取り組んでいて、これからタイムを伸ばしていきたい人は、ぜひご受講されることをお勧めします。

 

 故障は、抱えていないときはどうしても真剣に考えられません。ですが、いざなってしまうと「なんでもうちょっと対策していなかったんだ」と必ず後悔します。

 

 そして、出たいレースが近づいても、脚が痛くて、泣く泣く棄権、、


 もしくは、全然練習できてないから思い出づくりレースになってしまう、、(これは深澤の実体験です)。

 

 こんなみじめで悔しいことはありません。

 

 あなたにはそういう想いを味わってほしくはありません。


 故障の辛さを味わいたくない方、そして現在痛みに悩んでいる方は、必ず下記より講義の詳細をご確認ください!



 

 

ウェルビーイング株式会社副社長

らんラボ!代表

深澤哲也


 

ウェルビーイング株式会社

らんラボ!代表

深澤哲也

 

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ランニング書籍

講師紹介
​ウェルビーイング株式会社代表取締役
池上秀志

経歴

中学 京都府亀岡市立亀岡中学校

都道府県対抗男子駅伝6区区間賞 自己ベスト3km 8分51秒

 

高校 洛南高校

京都府駅伝3年連続区間賞 チームも優勝

全国高校駅伝3年連続出場 19位 11位 18位

 

大学 京都教育大学

京都インカレ10000m優勝

関西インカレ10000m優勝 ハーフマラソン優勝

西日本インカレ 5000m 2位 10000m 2位

京都選手権 10000m優勝

近畿選手権 10000m優勝

谷川真理ハーフマラソン優勝

グアムハーフマラソン優勝

上尾ハーフマラソン一般の部優勝

 

大学卒業後

実業団4社からの誘いを断り、ドイツ人コーチDieter Hogenの下でトレーニングを続ける。所属は1990年にCoach Hogen、イギリス人マネージャーのキム・マクドナルドらで立ち上げたKimbia Athletics。

 

大阪ロードレース優勝

ハイテクハーフマラソン二連覇

ももクロマニアハーフマラソン2位

グアムマラソン優勝

大阪マラソン2位

 

自己ベスト

ハーフマラソン 63分09秒

30km 1時間31分53秒

マラソン 2時間13分41秒

​ウェルビーイング株式会社副社長
らんラボ!代表
深澤 哲也

IMG_5423.JPG

経歴

中学 京都市立音羽中学校

高校 洛南高校

↓(競技引退)

大学 立命館大学(陸上はせず)

​↓

大学卒業後

一般企業に勤め、社内のランニング同好会に所属して年に数回リレーマラソンや駅伝を走るも、継続的なトレーニングはほとんどせず。

2020年、ウェルビーイング株式会社の設立をきっかけに約8年ぶりに市民ランナーとして走り始る。

感覚だけで走っていた競技者時代から一変、市民ランナーになってから学んだウェルビーイングのコンテンツでは、理論を先に理解してから体で実践する、というやり方を知る。始めは理解できるか不安を持ちつつも、驚くほど効率的に走力が伸びていくことを実感し、ランニングにおける理論の重要性を痛感。

現在は市民ランナーのランニングにおける目標達成、お悩み解決のための情報発信や、ジュニアコーチングで中学生ランナーも指導し、教え子は2年生で滋賀県の中学チャンピオンとなり、3年生では800mで全国大会にも出場。

 

実績

京都府高校駅伝区間賞

全日本琵琶湖クロカン8位入賞

高槻シティハーフマラソン

5kmの部優勝 など

~自己ベスト~

3,000m 8:42(2012)
5,000m 14:57(2012)
10,000m 32:24(2023)
ハーフマラソン 1:08:21(2024)

​マラソン 2:32:18(2024)

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