サブ3するために必要な練習量とは?
- 深澤哲也(ウェルビーイング株式会社副社長)

- 8月13日
- 読了時間: 7分
更新日:8月20日
マラソンでサブ3するためには、どれくらいの練習量が必要なんだろう?そんな疑問を持ったことはありませんか?
ネットで検索してみると、300kmくらい走ったほうが良いという意見もあれば、月間100kmでサブ3!みたいな情報もあったりで、どれが正しいのかわからない。
何人かいる知り合いのサブ3ランナーの練習を思い返してみても、しっかり走っている人もいれば、そこまで多くない練習量でサブ3を達成している人もいるし・・
一体、どれくらい練習したらサブ3を達成できるのだろうか?と気になったことはないでしょうか?
結論から言えば、サブ3を達成するためには月間300m±50km程度の練習量は欲しいです。
こういうと「月間100kmでサブ3達成している人もいますが?」という意見もあると思います。もちろん、月間100kmとか200kmとかで達成することも可能です。ですが、それはあくまで例外的なケースです。月間100kmとか200kmでもサブ3を目指すことはできますが、確率の問題として300km前後走れるなら走った方が良い、という話です。
例えば東大を受験する際に、一日6時間勉強できる時間、体力、気力があるのに、あえて1日1時間しか勉強しません。なんて人がいたらどう思いますか?いや、6時間やったらええやん、という話になりますよね。その方が確率が上がるなら、誰でもそうしたいと思います。
ただ、その中でももちろん例外的に、1日1時間で東大に行く人はいます。月間100kmでサブ3というのもそういう例外的なケースです。それを一般論化するのには無理がある、という話です。
ちなみに、理想という意味で言えば、月間500kmとか600kmとか走る方が確率は上がります。しかしお仕事やご家庭との両立という観点から、現実的ではない方が多いと思います。
つまり、仕事との両立など、現実的な問題、そして確率の両面から見て、月間300km±50kmくらいが目指したいラインになるのです
月間300km±50kmの裏付けは?
ではなぜ「月間300km±50km」なのか?ということですが、これはマラソンに必要な要素を鍛えるために必要な練習をやっていくと、自然とそれくらいになるというのがその理由です。その根拠は何か?ということですが、それはこれまで私自身も数百人、そして池上も合わせてウェルビーイング株式会社全体では1000人以上の受講生様をサポートさせていただき、数百人のサブ3ランナー誕生のサポートをさせていただいた経験からです。
それだけの人数の方を見させていただくと、もちろんいろんな方がいらっしゃいます。先述のように例外的に月間100kmくらいでサブ3を達成される方もおられましたが、大体の方はマラソンに必要な要素を鍛える練習を段階的に入れていきつつ、日常生活との両立ができる範囲でトレーニングを組み立てると、自然と月間300km前後に着地されているのです。
ではマラソンに必要な要素とは何か?ということですが、これは大きく分けると三つの要素があります。一つずつ見ていきましょう。
1:基礎スピード
まずは基礎スピードです。マラソンは42kmと長いですが、とはいえこれをのんびり走るのではなく、なるべく速く走るという競技です。しかもサブ3ということになれば、1kmあたり4分15秒ペースで走ることになりますが、そもそもそのペース自体の余裕度を高める必要があります。
なお、マラソンサブ3をする為に必要な基礎スピードの目安をお伝えしますと、これは5kmで19分半、できれば19分15秒は切れる走力があることです。
マラソントレーニングがうまくいけば、5kmあたり1分30秒〜2分落ちくらいでマラソンを走り切ることは可能です。5kmを19分15秒で走れていれば、2分落としたら21分15秒、つまり1kmあたり4分15秒ペースです。そのまま行けばサブ3ですね。
逆に言えば、5kmでこのくらいのタイムが出せていないと、そのシーズンでサブ3を目指すのはどうしても厳しくなってくるでしょう。
2:筋持久力
次に「筋持久力」という要素があります。これは端的に言えば、最後まで脚が攣らずに、元気に動かし続けられる筋肉の持久力のことです。
マラソンサブ3をしようと思えば、1kmあたり4分15秒で3時間走り続けられるだけの筋持久力が必要になります。
そのためには、最終的には30km以上の距離走も何本かやりたいし、土台作りの時期には10km前後の中強度走や、20kmくらいの距離をコンスタントにやっておきたいものです。
そうするとやはり自然と、月間300km前後の練習量は必要になってきます。
3:代謝の向上
最後に代謝能力の向上が挙げられます。これは端的に言えば、マラソンを走る間、必要なエネルギーを生み出し続ける力のことです。
私たちはマラソンを走る時には、酸素を使ってエネルギーを生み出しています。これを「有気的代謝」と言います。
そして、この有気的代謝の中にも2種類あって、一つは酸素+グリコーゲンでエネルギーを生み出す「有気的解糖系」、もう一つは酸素+脂肪酸でエネルギーを生み出す「有気的脂肪分解系」の代謝があります。
マラソンレースでは、基本は一つ目の「有気的解糖系」を使います。なぜなら、グリコーゲンの方がエネルギーに変わるのが早いからです。ですが、欠点もあります。それは、グリコーゲンは体内に貯蔵できる量が多くないことです。マラソン一本走る分すらも貯蔵できないのです。
となれば、グリコーゲンばかり使っていたらすぐになくなってしまい、後半はエネルギー不足になって失速します。それを防ぐために、脂肪酸を使ってエネルギーを生み出す「有気的脂肪分解系」の方の代謝速度も速くしておく必要があります。
そのためには、普段から「有気的脂肪分解系」による代謝をよく回しておくことが大事です。つまりコンスタントな練習量や、距離走が必要になります。
つまり、これらの3つの要素をサブ3に必要なレベルまで鍛えていくための練習をしていくと、結果的に月間300km前後の練習量に落ち着くことが多い、というわけですね。
マラソンサブ3を目指している方へ
最後に、マラソンでサブ3を目指している方に朗報です。
実は、マラソンでサブ3やその先の記録を目指す人のために書かれた書籍を弊社から出版しております。それが「マラソンサブ3からサブ2.5の為のトレーニング」です。

本書は、これまで数百人のサブ3達成のサポートをさせていただいた経験を持つ弊社代表の池上秀志が、マラソンサブ3やサブエガ、サブ2.5といった記録を目指すための知識をまとめた内容となっております。
運動生理学的側面からの理論、過去120年のマラソントレーニングから考える理想的なトレーニングとは?そして、具体的なトレーニングメニューの例まで書かれた内容です。
目次は以下の通りです。
目次
前言
第一章 マラソントレーニングの要素
第一項 100%vVO2max
第二項 マラソンにおけるその他の要素
第三項 有気的脂肪酸分解系
第四項 走技術
第五項 運動単位
第二章 マラソントレーニングの歴史
第一項 ハネス・コールマイネン
第二項 クラレンス・ド・マール
第三項 パーヴォ・ヌルミ
第四項 中村清
第五項 山田敬蔵
第六項 エミール・ザトペック
第七項 ジム・ピータース
第八項 レオナルド・バディ・エデレン
第九項 ディレク・クレイトン
第十項 宇佐美彰朗
第十一項 ビル・ロジャース
第十二項 フランク・ショーター
第十三項 宗さんご兄弟
第十四項 瀬古利彦
第十五項 中山竹通
第十六項 ロバート・ド・キャステラ
第三章 近代マラソン実例
第一項 ジョー・ヴィヒル
第二項 ポール・テルガト
第三項 コーチレナト・カノーヴァのトレーニング
第四項 宗さんご兄弟
第五項 ブラッド・ハドソンのトレーニング
第四章 筆者が考えるマラソンサブ3からサブ2.5の為のトレーニング
あとがき
本書をお読みいただくことで、あなたは間違いなく今後のランニング人生において、マラソンでサブ3やサブエガ、サブ2.5という記録の達成により速く近づくことができるでしょう。
そんな、マラソンサブ3以上を目指す方にとってはおあつらえ向きなこの書籍は、たった3,000円(税込)でご購入いただけます。送料は無料です。
在庫限りの販売です。ぜひこの機会に手に入れてください!
↓
ウェルビーイング株式会社副社長
らんラボ!代表
深澤哲也





























コメント