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潜在意識とは

更新日:2022年5月2日


1.潜在意識とは何か

2.潜在意識と肥満

3.潜在意識が一瞬で書き換えられる例

1.潜在意識とは何か?

潜在意識という言葉、たまに聞いたことがあると思います。何となく、ミステリアスな響きで、信じるか信じないかはあなた次第みたいな感じでとらえている人もいるかもしれません。

 潜在意識とは簡単に言えば、意識に上らない意識のことです。意識できないのに、意識するとは矛盾した感じがしますね。ただ、これは何か特別な意識の状態を示しているわけではありません。「いや、自分は潜在意識なんか感じたことがない」という人もいて当然です。だって、意識できないのが潜在意識ですから。意識出来たらそれはもう顕在意識になります。

 意識できない意識とは何かということになりますが、意識できないけれどあなたの行動に影響を及ぼす意識があると考えられているのです。心理学には行動心理学という分野があり、その根本的な考え方は「人間の心理なんて結局は行動からしか判断できないんだ」という考え方です。当然それに対して、「いや目には見えないものを解き明かそうとするのが心理学の本質である」という主流派の考えがありますが、そもそも人間の心理は他人からは見えないものです。それでも、私たちは他者の行動に心理的観点から様々な意味づけを行っています。例えば、レースで走れなくて近くにあったペットボトルを蹴り上げた人がいたらきっと悔しいんだろうなと思ったり、入試に落ちて泣いてる人がいたら、悲しいんだろうなと思ったりという具合です。

 他者の喜びや、悲しみは厳密にはいかなる形でも知覚(認識)することが出来ません。「人の気持ちがわかる人間になりましょう」というのは盛んに言われることですが、厳密に言えば、絶対に無理です。これは少数派の感受性を持つ人間は常に感じてきたことだと思いますが、多数派の感受性を持つ人たちにはわかりづらいようです。

 例えば、私の場合は一人でいるのが好きで、一人でいても寂しいとは一切思わないし、一人でご飯を食べても、一人で遠征や合宿に行っても全く何ともなく、友達ゼロでも平気で、場合によっては嫌がらせとして仲間はずれにされたりしたら心底ありがたかったりするのですが、どうやら理解されないようです。他には喜びや感動がほとんど表に出ないようで、「凄いですね」、「面白いですね」、「楽しいです」と言っても7割くらいの確率で「いや、お前絶対思ってへんやろ」と言われますが、本当に思ってます。大体面白くない時は、面白くないと言います。このように他者の感情や意識というものは認識できないものですが、だからと言って他者には心がないとか、意識がないと本気で思ってる人はほとんどいないと思います。

 他者の意識や心が私の意識に上らなくても、他者に意識があると考えているのと同じように、私自身にも意識できない意識があるということです。何故、そう言えるかというと、意識はできないけれど、潜在意識に基づく行為があると考えられているからです。

 例えば、朝型人間と夜型人間がいますが、実際にはこれも潜在意識の影響です。自分は朝型人間だと思い込んでいる人は、朝に集中できるものですし、作家なんかで自分は締め切り直前にならないと書けないと思い込んでいる人は、本当にホテルに缶詰めにされないと書けません。毎日同じ時間の電車に乗って仕事や学校に行く人たちは、ほとんど頭が働いていない状態でも朝の時間を過ごすことが出来るのも朝起きてからの行動が潜在意識にインプットされているためです。

 練習に関して言えば、私は脚に不安があったり、直前までどの練習をするか迷っているときには集中しきるのに時間がかかります。脚にも体全体にも不安がなく、スケジュール通りの練習が出来ているときには通常遅くとも前日の夜にはおおむね次の日の練習は決まっています。そうすると、前夜から何となく集中し始めて、次の日の起床時刻や起きてからの行動を頭に入れて寝ます。そうすると、練習時刻になると潜在意識が集中モードへと導いてくれます。

 一方で、脚に不安があって次の日に様子を見てみないとわからないとか、ウォーミングアップしてみて決めようというときには集中するまでに時間がかかってしまいます。これは練習を軽めのものに変える必要がある時も同様で潜在意識の影響を受けます。始めから、明日の練習は軽めだということにしておくと、次の日は楽な練習を楽しむことが出来ますが、直前になって、或いは練習中に脚に違和感を感じたり、オーバートレーニングの兆候を感じて軽めの練習に変えなければいけない時は、物凄く気持ち悪いものです。これも予め潜在意識にプログラミングされていた行為とは異なる行為をとるからです。

 教育現場では、非行に走る少年、少女が非行から脱し、自分の習慣を変えようとするときに親や教員から褒められたり、「最近どうしたの?とても頑張ってるね」という声かけをされると再び非行に走ってしまうことがあります。これは何故かと言うと、潜在意識の中では、自分は非行少年(非行少女)のままなので、親や教員から褒められたり、自分は良い生徒(子供)であるかのように言われると、そのずれを何とか解消しようとするからです。「自分は親や先生から褒められるような人間じゃない、何とかしなければ」ということで潜在意識が非行へと走らせてしまうのです。

 これは今まで無名だったスポーツ選手が急に脚光を浴びたケースでも同じです。自分が注目されるような状態になれていない選手は、潜在意識の変化が周囲の自分に対する評価の変化に追いつかず、「自分はそんなにすごい選手じゃない、何とかしなければ」ということで自分のキャリアを台無しにしてしまうような行為を取ってしまうのです。

2.潜在意識と肥満

 さて、潜在意識が顕在意識に影響を与える例を提示してきましたが、体に直接働きかけることもあります。心身医学の権威者であるデイーパック・チョプラ博士は次のように述べています。

「それぞれの体には代謝の割合を決定する主因となるセットポイントがあるようだ。このセットポイントは食べ物をエネルギーに変えるか、脂肪や筋肉に変えるかを決める。これがサーモスタットのように作用するがゆえに、食べ過ぎたり、食べなさすぎたりしても、セットバランスを調整するために代謝を変える。これが人々が彼らのセット体重を変えるのが困難な理由である。何がセットポイントを規定しているのかという問いに答えるのは難しいが、現状では自己イメージ、自分がどのようにみられているかという心理的視点が多くを規定していると考えられる。自分は太っているという強固な自己イメージはその現状を維持するように働きかける。

唯一の効果的な治療は、心理面から自己イメージを変えて、セットポイントを変えることである。セットポイントを理想的な体重に戻すことが結局は、自己調整のメカニズムをセットアップすることによる自然の意図であり、食べたいものを食べても太らない多くの人達は単純に彼らの内的なバランス感覚に従っているのである。彼らが食べたいものは、彼の体が同意するものなのである。」(『Creating Health』池上訳)

陸上長距離界の女子選手たちとその指導者たちの間では特に顕著ですが、体重管理が出来ないのはその人の意志が弱いからだという誤った考えが蔓延しています。私自身は、本人の意思の問題だけではないことは明らかで、栄養と心理面からのアプローチを行いさえすれば、多くの人が思っている以上に簡単に体重を落とすことが出来ると考えています。寧ろ、本当に今以上に体重を落とす必要があるのかどうか、真剣に考えることの方が大切だと思っているくらいです