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マラソンで結果を出す人と出せない人のたった1つの大きな違い

 あなたはもう今年のマラソンは終了されましたか?


 終了された方はもう今季の振り返りというものをされましたか?


 今季を振り返ってみていかがでしたでしょうか?


 結果は良かったでしょうか、悪かったでしょうか?


 そして、結果が良かったにしろ、悪かったにしろ、来季はこういう具合にすれば、必ずうまくいくという信念が持てるような確固たる戦略をお持ちでしょうか?


 私もこういうお仕事をさせて頂いておりますから、この時期は非常に多くの方のマラソン結果報告を頂き、それを分析して、来季の戦略を立てていきます。


 上手くいく人、上手くいかない人、もちろん原因は個人によって異なりますから、細かく分析していく必要があります。


 最終的には個人によって異なる、これは当たり前のことです。ですが、私は数百人の方の練習を分析していきますから、そこには全体的な傾向というものが表れます。


 数百人のトレーニングを分析して、上手くいく人と上手くいかない人を分ける要因の第一は・・・


 それはピーキングが上手く行えているか否かです。


 このように書くと、ピーキングという小手先の技術があるのかと思われるかもしれませんが、ピーキングとは小手先の技術ではありません。


 ピーキングとは6か月から12か月というスパンで戦略的にトレーニングを組み合わせ、狙ったレースに向けて最高の状態を作り上げることです。


 そして、これも多くの方が見落としていることですが、人生最高の記録とは次のレースで最高の記録を出すことの積み重ねによって決まるのです。


 つまり、あなたが4時間ちょうどで終わるのか、3時間45分で終わるのか、3時間30分で終わるのか3時間15分で終わるのか、サブ3出来るのか、それともサブエガまでいけるのかは、このピーキングが先ず次のレースで出来るか否か、そして、それを今後も繰り返すことが出来るのか、これによって決まるのです。


 また、多くの方がピーキングと調整を勘違いしておられますが、調整というのはただ単に目標とするレースが近づいてきたら練習の負荷を落として良い状態を作ることを指します。


 つまり、調整とは自分の走力を高める手法ではなく、今持っている力を最大限に発揮できるように体調を高める手法なのです。


 もちろん、調整はピーキングの一過程ではあります。しかしながら、ピーキングとは調整よりも大きな(情報量の多い、抽象度の高い)概念なのです。


 ピーキングの鍵は二つあります。


 先ず第一に、期分けをきちんと行うということです。


 期分けとは何かということですが、結果を出す為に必要な要素を分解し、それぞれの時期において獲得を目指す能力を1つか2つに限定するのです。


 この意味合いは何かということですが、物理的に考えてもらうと分かりやすいです。


 あなたは階段もないのに、5mの高さの建物にのぼれるでしょうか?


 要するに、5mのジャンプがあなたは出来るでしょうか?


 無理でしょう?


 つまり、階段もないのに5mの建物に登ることは一生出来ないのです。


 これが多くの方がサブ3出来ない理由です。


 多くの人が、階段を設計せずに、がむしゃらに高い建物の前でジャンプをしているのです。


 でも、人間ってすごいもので、それをやり続けると実際に、飛べる高さが上がっていくんですよね。これ自体は凄いことです。


 でも、そうやって登れるはずがない高い建物の前で必死に全力ジャンプを繰り返している横で、楽ではないが、誰でも登れるような高さの一段一段を着実に登り続ける人々がいるのです。


 これが私の講義を受講された多くの方が、「えっこんなに楽な練習でサブ3って出来るんだ。今まで終わった後に倒れ込むような練習を繰り返していた自分ってなんだったんだろう?」と思われる大きな理由なんです。


 繰り返しになりますが、努力がいらないとは言っていませんよ。努力は必要です。


 ただ、京都タワーの前でひたすら全力ジャンプを繰り返している人と、一段一段の高さは低いけれど、着実に階段を登り続けている二人がいたら、京都タワーの前でひたすら全力ジャンプを繰り返している人が馬鹿に見えませんか?


 ピーキングをしないというのはそういうことなんです。


 では、具体的にはどのように階段を分けるのでしょうか?


 ハーフマラソンやフルマラソンの場合は以下の五段階に分けます。


休養期

 前の期の疲れを取り、頑張れる体を作る時期。



基礎構築期

 疲れにくく、壊れにくい頑張れる体、やりたい練習が出来るようになる基礎体力作りを行うとともに、自分が苦しさを感じたり、無理をしない範囲内で走れる速さと量を増大せしめる時期。


特別期(移行期)

 基礎練習から専門練習へと重点を移し、徐々に自分が出場する種目(5000mなのか、10000mなのか、ハーフマラソンなのか、フルマラソンなのか)に特化した専門的な練習に体を慣らしていく時期。この段階ではまだレース形式、レースに近いような練習を入れず、レースに近い練習をするために体を慣らしていく時期。


特異期

 練習からレースタイムを予測できるような、レースに近い練習を実施する。ここで、心身ともにレースをシュミレートし、より特異的に目標とするレースの距離とペースに体を慣らしていく時期。


調整期

 ここが世間でよくピーキングと誤解されている時期である。この時期は走力の向上を目指したトレーニングはせず、走力を維持しながらも練習の負荷を落とし、試合の日に自分の最大限の力を発揮できるように体調を整える時期。


 もう一度大雑把にまとめると、休養期は前期と来期の移行にあたる時期であり、ここで一度体をリセットして、頑張れる状態を作る、基礎構築期は基礎的能力の獲得に重点を置き、特別期は自分が出場する種目の距離とペースにより専門的に体を慣らす時期であり、特異期はレース刺激に対して体を適応させる時期であり、調整期はレースで最大限の力が発揮できるように体調を整える時期です。


 このように、各時期において自分が重点を置く項目を分けて、一つの時期において狙いを一つに定めるのです。そうすることによって、着実に新しい能力を獲得することが出来るのです。


 トラックランナーの場合は調整期の後ろに試合期を設けることもあります。というのも、トラックレースはフルマラソンほどの疲労が残らないので、一度良い状態を作ったら、その後何本かレースに出場するのが普通だからです。


 しかし、この場合においても試合期を長く取りすぎると後半は状態が落ちていきます。


 学生がよくやる過ちは4月のトラックシーズン開幕にピークを合わし、そのあと6月あたりの近畿選手権や日本選手権や7月下旬のインターハイの頃にはすっかり状態が落ちてしまっていることです。


 私も洛南高校時代には恩師からよく京都府インターハイは6割、近畿インターハイは8割の力で通過出来ないと全国では戦えないと言われていましたし、練習計画もそのように立てられていました。


 とは言え、理想と現実は異なるもので、私程度の平凡な選手の場合は京都府インターハイは8割、近畿インターハイは10割の力で戦わないと通過出来ないというか、それでも結局インターハイは1.5秒差で逃したのですが、いずれにしても、本来はそうやって逆算してスケジュールを組むということです。


 フルマラソンの場合も1本走ったらその4-8週間後にもう1本走るというような場合がありますが、フルマラソンの場合は1本走ったら状態がガクンと落ちますから、同じ状態を維持するというよりは、ピーキングファネルをギュッと短くして、もう一度同じ状態まで戻すことを目標にするというイメージです。


 ただし、後述しますが、やはり人間が走力の向上を目指す場合には4-8週間は短すぎます。最低でも6か月は欲しいです。


 ですから、年に2本走る場合は、同じくらいの力を2回発揮すればOKというところです。


 レースにばかり出る人は記録が伸びないのはこれが理由です。


 まあまあ、レースペースの80%くらいのペースでファンランをする分には問題がありませんが。


 ファンラン(楽しく走ること)がファン(楽しい)に感じられる人はそれで良いでしょう。


 一方で、私と同じで楽しく走るのは楽しくない、真剣にやるからこそ楽しいんだという人はそもそもレースの数を絞った方が良いです。


 また、私はよくマラソントレーニングは3か月で組むと申し上げておりますから、私の話と矛盾すると思われるかもしれませんが、それはそうではありません。


 私がマラソントレーニングと申し上げているのは特別期(移行期)以降の話をしているんです。


 基礎構築期と休養期で+3か月くらいは欲しいんです。そうすると、やっぱり合計6か月です。


 話をピーキングに戻しますと、ピーキングが上手くいかない人は、大きく分けると二つの要因があります。


 先ず第一に、先述の通りで6-12か月というスパンでそもそも物事が考えられない人です。


 あんまりこういうこと申し上げたくないのですが、我々もう大人なんですから、テスト期間だけ勉強するような学生、受験勉強の時だけ勉強頑張る学生みたいなことやめません?(笑)


 短期間で結果を出すことは無理なんです。そもそも無理なことをやり続けるというのは、一回の跳躍で京都タワーの展望台まで登ろうとするのと同じことなんです。


 可視化できる状態だと自分の馬鹿さ加減が分かると思うんですよ。だって、京都タワーの前で思いっきりジャンプして展望台に登れないからと言って落ち込んだり、「俺って(私って)才能ないのかな」って落ち込む人いないじゃないですか?


 いたら馬鹿ですよね?(笑)


 でも、マラソンの場合はそんな風にはっきりと目に見えない、目に見えないからそれやってしまうんです。


 もっと言えば、毎日思いっきりジャンプしていれば、京都タワーの展望台には到達しないけれど、飛べる高さは上がっていきます。そのせいで、余計にこのまま努力を続ければ行けるような気になってしまうんですよ。


 でも、無理なものは無理なんです。マラソンではだいたい6か月から12か月が最小の時間単位であると思ってください。


 この世界では5.391×10のマイナス44乗秒より短い時間は意味を持ちません。この時間は世界で一番速く移動する物質(光子)が世界で一番短い距離(プランクスケール)を移動する時間です。これより短い時間は存在しないのと同じなんです。


 それと同じで長距離走、マラソンは6か月より短い時間は存在しないんです。ピーキングが上手くいかない人は存在しない時間を存在するかのように扱ってしまっている、これが第一の問題です。


 第二の問題も、正直第一の問題にほぼ等しいのですが、ピーキングにおいてはある時期においてはある能力を獲得する、つまり、ある時期にはある特定の練習に重点を置くことに意味があるのですが、ここで重要なのは前の時期にやっている刺激と後ろの時期にやっている練習をなるべく重ね合わせることなんです。


 重ね合わせるというのは具体的にどういうことかと言いますと、5000mのレースペースで1000m5本をやるところから、10000mのレースペースで1000m10本やるのであれば、比較的刺激が似通っています。


 間に10000mのレースペースから入って、後半は5000mのレースペースに上げていく1000m8本を入れたら、もっと刺激が似通います。


 一方で、1000m5本を5000mのレースペースから、20㎞の目標とするマラソンレースペース走まで一気に増やすと、刺激の種類が一気に変わるので、人間の体は適応しにくいのです。


 持久面においても同じことが言えます。


 レースペースの90%の15㎞走から始めて、徐々に徐々に2-5㎞ずつくらい距離を伸ばして、40㎞走まで伸ばすと体は適応しますが、それまでレースペースの80%で20㎞走までしかやっていないのに、雑誌やネットでレースの3週間前にマラソンレースペースで30㎞走をやると良いと書いてあったから、いきなり3週間前にレースペースで30㎞走をやっても人間の体は適応できないのです。


 結局のところ、充分な時間を取っていないという第一の点に突入する人も多いのですが、しかし、充分に時間を取っていながら、きちんと計画が立っていないからせっかく充分に時間があるのに、階段を一段ずつ登らずに、どこか特定の階段で長らく足踏みして、どこかの階段の高さが高くなりすぎて登り切れないという状態になってしまっているのです。


 ピーキングに関してはこんなところですが、最後に残酷な真実をお伝えさせて頂きましょう。


 ということはどういうことかと言いますと、上手くいかない人はやる前から上手くいかないことが決まっているということです。つまり、計画の段階で上手くいかないことが決まっているのです。


 だって、京都タワーの展望台まで一回の跳躍でいこうとしているんですもん、無理に決まってるじゃないですか(笑)


 でもさー(いきなりフランク笑)、考えてみたらさー、走り出した一番初めって1㎞4分15秒で走ることすら無理じゃなかったですか?


 たった1㎞だけでも1㎞4分15秒で走ることって無理か、出来てもめっちゃきつくなかったですか?


 それを42.195㎞継続するって、京都タワーの真下に立って上を見上げるくらいの感じしません?


 まあ京都タワーじゃなくても良いんですよ。東京タワーでも、スカイツリーでも、あべのハルカスでもなんでも良いです。


 私は5歳の時に初めて新宿に行って、高層ビルがたくさん並んでいるのを見て、ずっと上を向いて歩いておりましたが、そんな感じじゃないですか?


 あんな高いところどうやったら登れるんだろうってそんな感じしません?


 それを考えると、急がば回れで地道に30㎝くらいの階段を登り続けることの重要性、時間をかけて30㎝くらいの階段を一段ずつ登ることの重要性ってなんとなくお分かり頂けるのではないでしょうか?


 上手くいかない人はやる前から上手くいかないことが決まっており、その人がどれだけ努力をしたかは関係ない、この事実に気づいて頂けますと幸いです。


 最後に、ここまでの話を踏まえてピーキングをもっと深く学び、活用したいという方にご案内です。現在3月22日(日)までの期間限定で新講義動画「ピーキング」の受講生様を募集させていただいております。


 こちらの講義では文字通り、今日解説したピーキングについての抽象概念から具体的な内容まで体系的に解説しております。もしあなたがピーキングについて質の高い学びを求めておられるのであれば、これ以上の方法はありません。今すぐ下記のページより詳細をご確認ください。




 
 
 

コメント


ランニング書籍

講師紹介
​ウェルビーイング株式会社代表取締役
池上秀志

経歴

中学 京都府亀岡市立亀岡中学校

都道府県対抗男子駅伝6区区間賞 自己ベスト3km 8分51秒

 

高校 洛南高校

京都府駅伝3年連続区間賞 チームも優勝

全国高校駅伝3年連続出場 19位 11位 18位

 

大学 京都教育大学

京都インカレ10000m優勝

関西インカレ10000m優勝 ハーフマラソン優勝

西日本インカレ 5000m 2位 10000m 2位

京都選手権 10000m優勝

近畿選手権 10000m優勝

谷川真理ハーフマラソン優勝

グアムハーフマラソン優勝

上尾ハーフマラソン一般の部優勝

 

大学卒業後

実業団4社からの誘いを断り、ドイツ人コーチDieter Hogenの下でトレーニングを続ける。所属は1990年にCoach Hogen、イギリス人マネージャーのキム・マクドナルドらで立ち上げたKimbia Athletics。

 

大阪ロードレース優勝

ハイテクハーフマラソン二連覇

ももクロマニアハーフマラソン2位

グアムマラソン優勝

大阪マラソン2位

 

自己ベスト

ハーフマラソン 63分09秒

30km 1時間31分53秒

マラソン 2時間13分41秒

​ウェルビーイング株式会社副社長
らんラボ!代表
深澤 哲也

IMG_5423.JPG

経歴

中学 京都市立音羽中学校

高校 洛南高校

↓(競技引退)

大学 立命館大学(陸上はせず)

​↓

大学卒業後

一般企業に勤め、社内のランニング同好会に所属して年に数回リレーマラソンや駅伝を走るも、継続的なトレーニングはほとんどせず。

2020年、ウェルビーイング株式会社の設立をきっかけに約8年ぶりに市民ランナーとして走り始る。

感覚だけで走っていた競技者時代から一変、市民ランナーになってから学んだウェルビーイングのコンテンツでは、理論を先に理解してから体で実践する、というやり方を知る。始めは理解できるか不安を持ちつつも、驚くほど効率的に走力が伸びていくことを実感し、ランニングにおける理論の重要性を痛感。

現在は市民ランナーのランニングにおける目標達成、お悩み解決のための情報発信や、ジュニアコーチングで中学生ランナーも指導し、教え子は2年生で滋賀県の中学チャンピオンとなり、3年生では800mで全国大会にも出場。

 

実績

京都府高校駅伝区間賞

全日本琵琶湖クロカン8位入賞

高槻シティハーフマラソン

5kmの部優勝 など

~自己ベスト~

3,000m 8:42(2012)
5,000m 14:57(2012)
10,000m 32:24(2023)
ハーフマラソン 1:08:21(2024)

​マラソン 2:29:44(2024)

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