top of page

ウェルビーイング:手間をかけずに健康的に食べる方法


 健康的な食生活と聞くと手間がかかる、忙しくてそんなことをする時間がないと思っている人は多いのではないですか?私の姉が大学を卒業して塾の講師として働き始めたころ、コンビニで買ったもので食事を済ましていることが多いと聞いてそれはやめた方が良いと言ったところ「あんたみたいに料理してる時間がない」と返されたことがあります。

 その時私は「健康的な食生活を送るのに時間は必要ない」と返しました。これは別に言い訳するなとかそういうことが言いたかったわけではなく、本当に健康的な食生活を送るのに時間は必要ないのです。寧ろ、時間をかければ健康的でなくなる可能性が高くなります。

早速、健康的な食生活を送るポイントを簡単にまとめてみたいと思います。

  • 彩り豊かな野菜を中心に摂取すること。

  • 果物を食べること

  • 種やナッツ類を摂取すること。

  • 精製されていない炭水化物を摂取すること。

  • 出来るだけ加熱しないこと、加熱する際にはエキストラバージンオリーブオイル、ギー、ココナッツオイルのいずれかを使用すること。

  • 一日に何度も少量の食べ物を摂取し続けること。

  • 水や緑茶を摂取すること

 特に難しいことは何もありません。そして、私が健康的な食生活を送るのに時間が必要ないと考える根拠はズバリ5番目の出来るだけ加熱しないことと、6番目の少量を一日中食べ続けることにあります。加熱しないことのポイントは過熱すると酵素が死んでしまうからです。食べたものが体内で様々な役割を果たすのは全て化学変化によって引き起こされます。生体内における化学反応のことを代謝と呼びますが、この代謝に必要なのが酵素です。酵素はかなり多くの種類があり、一つの酵素は一種類の化学反応しか引き起こせません。私はサプリメントは必要最小限しか摂取しません。逆に摂取するサプリメントの全てにそれなりの理由があると思っていただいてよいのですが、それはともかく自然界に存在する食物にはサプリメントにはないメリットがあります。

例えば、ニンジンには大抵ニンジンの栄養素を代謝する際に必要な酵素がすべて含まれています。リンゴにもリンゴの栄養素を代謝するのに必要な酵素が含まれています。自然界に存在する食べ物はだいたいその栄養素を代謝するのに必要な酵素が含まれているのです。ただ酵素が働くには二つの条件あります。一つ目は適切な温度、二つ目は適切なPH値です。この温度に関してですが、比較的低温のグリルでも160度です。皆さんは160度の中で生育可能な植物をご存知ですか?自然界に160度の温度など山火事でもなければ存在しません。そして、山火事の中でも生き延びることが出来る植物はほぼありません。要するに、加熱すると酵素が死んでしまうのです。

酵素が死んだ食べ物を摂取しても吸収されないまま、腸から血液中に流れ出しCIC(Circulating Immune Complex)=循環免疫複合体という物質が形成されます。この循環免疫複合体は体にとっては異物なので免疫細胞が働き食細胞であるマクロファージによって食されますが、この時免疫反応の一環として炎症が生じます。この低度な炎症が進行性の病気の原因となったり、集中力を低下させたり、痛みを悪化させたりの原因となります。

野菜が育たない地域に住むイヌイットは生の肉しか食べません。これによって、酵素だけではなく動物の肉に含まれるビタミンやミネラルが破壊されないので、野菜を食べなくても病気にならないのです。南極や北極探検に行った初期の西欧人はこの知識がなかったため、肉を焼いて食べていたためビタミン不足で壊血病に次々とかかりました。勿論、サプリメントもなかった時代の話です。

ポイントの二つ目は一物全体食です。これは一つの食べ物の全体を食べるという考え方です。これが精製されていない炭水化物というところにつながってくるわけですが、自然界に存在する食べ物というのは酵素やビタミン、ミネラルを含めて全体で一つとして機能します。例えば、炭水化物の代謝にはビタミンB群が必要となりますが、米でビタミンB群が豊富に含まれているのは皮の部分です。ですから、この皮を取った白米はビタミンB 群があまり含まれていません。従って、白米を食べると代謝のために体内に存在するビタミンB群が失われてしまうのです。大げさだと思うかもしれませんが、そうでもありません。日露戦争では中国大陸で過酷な戦いに明け暮れる兵士たちのために麦飯や玄米ではなく、白米が供給されました。日々激しい戦闘にさらされる兵士たちを少しでも労おうとある軍医が麦飯の供給を却下したのですが、その所為でビタミンB不足による脚気が蔓延しました。この軍医こそ『舞姫』、『阿部一族』、『高瀬舟』などの名著を生み出しゲーテの作品『ファウスト』の日本語訳を初めに手掛けた森鴎外です。

森鴎外の責任がどの程度あったのかについては諸説ありますが、それはともかく精製されていない炭水化物の摂取の重要性を裏付ける事件です。事件と言うと大げさと思われるかもしれませんが決してそんなことはありません。戦死者55000人に対して、戦病死者27000人でその大半が脚気によるものです。因みに、ロシアの戦死者数は日本の55000人に対して、25000人です。戦病死者数も日本の27000人に対して11000人ですから、ロシアの戦死者数を上回る日本兵が脚気で死んだことになります。

私のコーチが現役時代の1970年代(コーチホーゲンは当時中長距離ランナーとして東ドイツのホープでした)練習直後にグルコースを含んだ飲み物、15グラムから20グラムの蛋白質飲料、ビタミンとミネラルのサプリメントを摂取するように当時のコーチから指示されていたそうです。それから40年たった現在でもこの栄養戦略は変わらず私のところまで受け継がれていますが、少し変更点があります。蛋白質飲料、グルコース飲料、ビタミン、ミネラルのサプリメントの代わりにアミノサウルスと果物になりました。蛋白質よりもアミノ酸の方が吸収が速いこと、そして果物にはサプリメントには含まれていない酵素が含まれていることがその理由です。少し家から離れたところでトレーニングする時はバナナとアミノサウルスを常に携帯していますし、家からウォーミングアップをしてクールダウンでそのまま家の前がゴールという時はアミノサウルスに加えて、ミックスベリー、バナナ、パイナップル、ターメリック、黒コショウ、ショウガパウダーを混ぜ合わせたスムージーを摂取します。これで必要なビタミン、ミネラル、水分、酵素、糖質、抗炎症物質、抗酸化物質が効率よく摂取できます。感覚的には化学合成で作ったサプリメントやプロテインドリンク、グルコースドリンクを摂取していた1970年代から、時代が逆行していると感じるかもしれません。しかしこれが、より