top of page

長距離走・マラソンの為の栄養学

更新日:2022年10月1日

「マラソンの為の栄養学」とあなたが聞いて真っ先に思い浮かべるのはどんな内容でしょうか?  ほとんどの方が「カーボローディング」と「体重管理」のことを思い浮かべるのではないでしょうか?  しかし、この二つは私に言わせれば、些細なことにすぎません。  先ずカーボローディングについてですが、カーボローディングとはレースの最後の最後にするいわば背伸びのようなものです。カーボローディングが役立つことに間違いはないのですが、テスト勉強を頑張ることよりも普段からきちんと勉強しておくことの方が重要であるというのと同じことで、カーボローディングは最後の少しのプラスアルファを付け加えるにすぎません。  第一、カーボローディングというのは皆多かれ少なかれやるので、そこではそれほど差はつきません。重要なのは、普段の食生活です。  また体重管理についてですが、冒頭でも少し書いたのですが、体重管理がきちんと出来ない人は、食べ過ぎる人よりも食欲コントロールが出来ていない人が多いです。栄養状態が悪いと中枢神経が正常に働かないので、食欲が正常に管理されないのです。  また食欲そのものをコントロールするということも非常に大切です。食欲はある程度食生活によって抑えることが出来ますし、体に良い食生活をしていれば、食欲もある程度抑えられるものなのです。  また、体重に関して言えば、私が声を大にして言いたいのは、自分のベスト体重を知っておくことの重要性です。そもそも長距離走・マラソンというのは体が軽ければ軽いほど良いわけではありません。皆それぞれ持って生まれた体があり、その中で健康的な食事をして、長距離走・マラソンの為のトレーニングをしていけば、自然とそれに適した体になっていきます。それを証明するためにも簡単な計算をしてみましょう。  私と同い年のマラソンランナー神野大地君と比較してみましょう。神野君の体重はどの情報をとるかにもよるのですが、およそ45キロのようです。身長は私の167㎝に対して、165㎝です。ほぼ、同じと言えるでしょう。  体重が軽いほうが良いのであれば、私が神野君と同じ体重になれば、もっとタイムは伸びるはずです。しかし、そんなことが本当に可能なのでしょうか?  長距離走・マラソンで重要なことは体脂肪を減らすことです。一言で、体が軽いほうが良いといっても、筋肉が落ちると走れません。これは男女の競技能力の差を見て頂いてもお分かりいただけるでしょう。単純に軽いほうが有利なのであれば、女子の方が競技力は高いはずです。しかし、実際には圧倒的に男子の方が競技力は高いです。  上半身にだけ、筋肉がついていて下半身はお姫様みたいな感じであれば、また話は別ですが、普通に走っていれば、そんなことはまずありえません。長距離走・マラソンをやっても筋肥大はしないので、見た目は大きくなりませんが、しっかりと引き締まった脚になっていくのは皆さん経験的にご存知だと思います。  走ると脚が太くなるからいやだという女性の方もごく一部いらっしゃいますが、それは走ったことのない人のセリフです。短距離なら太くもなるかもしれませんが、長距離走・マラソンでは太くなることは先ずありません。  いずれにしても、基本的には軽い方が有利だといっても、筋肉を落とすのではなく、体脂肪を落とすことが重要です。そして、私のベスト体重は59キロです。体脂肪率は分かりませんが、計算しやすいように10%で計算しましょう。実際には、これよりは少ないのではないかと思いますが、分からないので10%で行きましょう。  59キロの10%ということは5.9キログラムです。これが私の体の脂肪の量です。実際には脂肪がゼロになるということはありません。人間の体にも脂肪は必要なのです。しかし、ここでは仮にゼロになったと仮定しましょう。その方が話は分かりやすいです。仮に私が体に蓄えている脂肪をすべて燃やしてゼロになったとしても59引く5.9で53.1キログラムにしかなりません。  一方の神野君は体脂肪率がゼロということはないでしょうが、それでも45キログラムしかないのです。体脂肪ありの神野君と体脂肪ゼロ(これはありえない)の私でもまだ私の方が8キロも重たいのです。この簡単な計算からも、人には持って生まれた体というものがあり、軽ければ軽い方が良いわけではないということはお分かりいただけると思います。  本当に軽くしようと思えば、出来ないことはないでしょう。私を強制収容所にでも入れれば、やがてやせ細っていくでしょう。第二次世界大戦中の文献などを読んでいると、私の体格であれば、場合によっては体重が40キロを切ることもありうるでしょう。しかし、その体でマラソンを走れないことはだれの目にも明らかです。  骨と皮だけの体で目だけを異様にぎらつかせてマラソンを走ることなどできません。確かに、マラソンをやるのに適した体はあります。ぽっこりと前に出たお腹は首から下げたストップウォッチの置き場所以外に使い道はないのです。  いずれにしても、ベスト体重=今までで一番軽い体重だと思っている人がいるのですが、そうではありません。ベスト体重とは自分が一番走れる体重のことです。わたしの場合は、自分の経験を通して59キロ辺りがベストだと知っているのです。58キロなら大丈夫ですが、57キロ台になったら、オーバートレーニングや慢性的な脱水を疑わないといけません。  60キロ台なら、単純にまだ必要な練習がこなせていないのかもしれません。マラソンではありませんが、ロードレースであれば、体重が62キロでもかなり走れたことはありました。実際に、駅伝で自分が持っていた区間記録を更新したこともありました。これは不摂生で体重が増えたのではなく、ジャンプ系のトレーニングを取り入れて下半身の筋肉がついたからです。この時は、人生でも最も大きなストライドで走っていました。ただ、確かにマラソンに向いているかというとちょっと重かったかなという感じです。  自分の体重を決めるもっとも大雑把な要素は性別と生まれる地域の緯度です。性別は説明する必要がないでしょう。男性の方が女性よりも重たいのです。  そして、生まれる地域に関しては低緯度地域の人は高緯度地域の方が体が小さい傾向にあります。これは、体が大きい方が体表面積に対する体積が大きくなり、熱を体の内側にため込みやすいからだそうです。確かに夏場は体の大きな人の方が汗をかいているのですが、それも体積に対する体表面積が少ないので、熱を放散できず体内にたまってしまっているからだそうです。  これは人間だけではなく、他の動物も同じで、種が同じであればだいたい低緯度地域の方が小さく、高緯度地域の方が大きいです。まあ、これはケニア人やエチオピア人とドイツ人、ノルウェー人、ロシア人を比べてくださいと言った方が分かりやすいでしょう。  日本は南北に長いのですが、京都の四条通がほぼ北緯35度です。私もたまに四条に遊びに行くのですが、四条通りに立って空をみると、よーく目を凝らすと空の方にぴーっと白い線が見えます。それが北緯35度の線です・・・っていうのはもちろん嘘ですよ。緯度というのは人間が勝手に作ったものですから、ある訳がないのですが、私が真面目な顔していうと一定数の人が信じてしまいます。  四条通がほとんどぴったり北緯35度というのは本当です。緯度は90度までありますが、人間が住んでいるということを考えるとちょうど真ん中あたりです。実際に、日本には四季があり、夏は暑くて冬は寒い、どちらにも対応できないといけないので、体の大きさはちょうど真ん中くらいです。  皮膚の色も白人と黒人の間くらいです。緯度が高いと日照時間が短いので、黒い皮膚では太陽の光を吸収しづらく、ヨーロッパに連れていかれた黒人奴隷はクル病になる率が高かったそうです。逆に、白人は肌が白いので、強い日光を浴びるとしみや肌荒れ、皮膚がんのリスクが高まります。青い瞳も強い光にはあまり強くなく、アフリカやハワイなどの白人のサングラス着用率は半端なく高いです。  その点、日本人はどちらにもある程度対応できるようになっている訳ですが、体の大きさも同じです。ヤマト民族のDNAしか持たない我々がいくら走りこんでもケニア人のような体にはならないでしょう。その代わり、北部ドイツ人やノルウェー人、ロシア人のように体が大きくなることもないので、ご安心ください。  そんな訳で、体重管理もカーボローディングも長距離走・マラソンの為の栄養学にはそれほど重要なテーマではないのです。体重管理の方は本書でお伝えする内容を実践していただければ、自然と出来るようになると思っていただいて差し支えありません。  体重管理よりもカーボローディングよりも重要なこと、それは細胞の自己統制です。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー  実はこちらは9月30日リリースの書籍『長距離走・マラソンの為の栄養学』のほんの一部です。リリースからすでに1日で50部を超えるご注文をいただいております。


 ご購入はこちらからお願いいたします。




閲覧数:164回0件のコメント

関連記事

すべて表示

ハーフマラソンが速くなるための5つの運動生理学的観点

突然ですが、あなたはハーフマラソンが速くなりたいと思っておられますでしょうか? 私が聴きたいのは「ハーフマラソンを完走したいのか」それとも「ハーフマラソンが速くなりたいのか」ということです。もしも、後者であるならば私と立場を一にします。ハーフマラソンという距離は距離に対する不安が顕著になる一番短い距離だと思います。 どういうことかといいますと、10000mや10キロのレースまでは練習で非常にコンス

Comments


ランニング書籍

講師紹介
​ウェルビーイング株式会社代表取締役
池上秀志

経歴

中学 京都府亀岡市立亀岡中学校

都道府県対抗男子駅伝6区区間賞 自己ベスト3km 8分51秒

 

高校 洛南高校

京都府駅伝3年連続区間賞 チームも優勝

全国高校駅伝3年連続出場 19位 11位 18位

 

大学 京都教育大学

京都インカレ10000m優勝

関西インカレ10000m優勝 ハーフマラソン優勝

西日本インカレ 5000m 2位 10000m 2位

京都選手権 10000m優勝

近畿選手権 10000m優勝

谷川真理ハーフマラソン優勝

グアムハーフマラソン優勝

上尾ハーフマラソン一般の部優勝

 

大学卒業後

実業団4社からの誘いを断り、ドイツ人コーチDieter Hogenの下でトレーニングを続ける。所属は1990年にCoach Hogen、イギリス人マネージャーのキム・マクドナルドらで立ち上げたKimbia Athletics。

 

大阪ロードレース優勝

ハイテクハーフマラソン二連覇

ももクロマニアハーフマラソン2位

グアムマラソン優勝

大阪マラソン2位

 

自己ベスト

ハーフマラソン 63分09秒

30km 1時間31分53秒

マラソン 2時間13分41秒

​ウェルビーイング株式会社副社長
らんラボ!代表
深澤 哲也

IMG_5423.JPG

経歴

中学 京都市立音羽中学校

高校 洛南高校

↓(競技引退)

大学 立命館大学(陸上はせず)

​↓

大学卒業後

一般企業に勤め、社内のランニング同好会に所属して年に数回リレーマラソンや駅伝を走るも、継続的なトレーニングはほとんどせず。

2020年、ウェルビーイング株式会社の設立をきっかけに約8年ぶりに市民ランナーとして走り始る。

感覚だけで走っていた競技者時代から一変、市民ランナーになってから学んだウェルビーイングのコンテンツでは、理論を先に理解してから体で実践する、というやり方を知る。始めは理解できるか不安を持ちつつも、驚くほど効率的に走力が伸びていくことを実感し、ランニングにおける理論の重要性を痛感。

現在は市民ランナーのランニングにおける目標達成、お悩み解決のための情報発信や、ジュニアコーチングで中学生ランナーも指導し、教え子は2年生で滋賀県の中学チャンピオンとなり、3年生では800mで全国大会にも出場。

 

実績

京都府高校駅伝区間賞

全日本琵琶湖クロカン8位入賞

高槻シティハーフマラソン

5kmの部優勝 など

~自己ベスト~

3,000m 8:42(2012)
5,000m 14:57(2012)
10,000m 32:24(2023)
ハーフマラソン 1:08:21(2024)

​マラソン 2:36:14(2024)

bottom of page